41歳専業主婦「60歳までに6000万貯めたい」読めない将来にどう備える?

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、41歳、会社員の女性。病気により退職し、障害年金をもらっている相談者。障害年金は減額やなくなる可能性もあるため、子どもの進学や将来の夢であるマンション購入を叶えるために、やりくりして60歳までに6,000万円を貯めたいといいます。シミュレーション結果は? FPの鈴木さや子氏がお答えします。

60歳までに6000万円貯めたい。

41歳の専業主婦です。1年前に病気で仕事をやめ、1級障害者になり、障害年金や手当金20万8,000円ももらっており、収入に含んでいます。現在の貯蓄は、18年の共働きのお金です。

さて、私には、小学5年生の一人息子がいますが、私立中学受験を考えており、塾代、私立中学高校大学の費用に不安があります。学資保険は375万円かけています。

今は賃貸マンションに住んでおり、老後のため、60歳ぐらいに中古マンションを諸経費込み2,000万円を現金で購入したいと思っておりますが、大丈夫でしょうか?中古マンション購入が、今一つの夢になっています。

老後資金ですが、私の障害年金は下がったり、なくなる可能性あります。なくなったとして、基礎厚生年金夫婦で65歳で24万円もらえる予定です。個人年金も1,210万円かけています。

これら教育費、住宅費、老後資金を今の貯蓄と合わせて、6,000万円貯めたいです。

大丈夫でしょうか?よろしくお願いします。

【相談者プロフィール】

・女性、41歳、専業主婦

・配偶者の年齢:47

・子どもの人数:1

・子どもの年齢:10

・同居家族について:夫(47歳)会社員、子ども(10歳・小学5年生)、妻(私)病気障害により日常生活介護必要

・住居の形態:賃貸

・毎月の世帯の手取り金額:50万円

・年間の世帯の手取りボーナス額:50万円

・毎月の世帯の支出の目安:35万円

・住居費:7万5,000円

・食費:5万円

・水道光熱費:2万2,000円

・教育費:3万5,000円

・保険料:6万8,000円(年払分を月割して含む)

・通信費:2万5,000円

・車両費:1万8,000円(車検、次回購入のため積立含む)

・お小遣い:4万円

・その他:1万9,000円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:15万円

・ボーナスからの年間貯蓄額:20万円

・現在の貯蓄総額:3,300万円

・現在の投資総額:120万円

・現在の負債総額:0円

・老後資金:公的年金夫婦月12万円ずつで合計24万円

・退職金あり、金額未定入社まだ3年負債なし


鈴木:ご相談者様は計画的に積立をされており、貯蓄額も年齢的に考えて決して少なくない方でしょう。とはいえ、お仕事をやめざるを得ない今、中学受験にかかるお金とその後の教育費の支払いと、将来中古マンションを購入するという夢を叶えられるかご心配のご様子です。教育費とマンション購入費、そして老後費用を合わせて6,000万円必要とご自身で試算されていますので、この目標金額を貯められるか、今後の資産の増減を数字でチェックしてみましょう。

私立に進んでも赤字にならないよう生活レベルを保って

現在かかっている毎月3万5,000円の教育費は、すでに通っている塾の費用かも知れませんが、そうであれば今後受験までにいついくらくらいかかるのか、塾に問い合わせておくと安心です。中学受験塾にかかるお金は、一般的に小学5年生~小学6年生の2年間で100~150万円くらいと言われており、夏期講習や冬期講習、正月模試や直前講習など講習時には、一回あたり10~20万円といった多額の支払いが発生することもあります。

私立中学に進んだ場合の教育費(塾など習い事含む)は、文部科学省のデータによると年間で約140.6万円です。現在より貯蓄額は大きく減りますが、貯蓄を取り崩すことにはならず、年100万円近くは貯蓄できそうです。ただしそれは「私立に進学しても生活レベルが変わらないこと」が前提です。

学校や地域にもよりますが、私立中学に進学すると、外食費や交際費用など、教育費以外のお金も高くなる傾向にあります。また、部活によっては合宿費なども公立より高くかかるかも知れません。毎月の積立は減っても決して赤字にならないように、生活レベルが上がり過ぎないように注意しましょう。

私立に進むと、中高大合わせて約1400万円

私立中学に進学すると、そのまま私立高校に進みます。大学についてはもちろんわかりませんが、私立大学に進学したとして試算しておくと安心です。どこまで出してあげるかはご相談者様の考えによりますが、私立文系として計算すると、中学、高校、大学合わせて約1,400万円、私立理系とすると約1,500万円かかります。もしお子様が一人暮らしして仕送りをする場合や大学院に進む場合は、その分もかかります。

ご相談者様の場合、中学、高校時期も生活レベルを大きくあげなげれば、貯蓄を崩すことなく資産を増やしていけるでしょう。大学時は大きなお金がかかりますので、貯蓄を使って子育て費用のピークを乗り越えます。

貯蓄のシミュレーションをみてみよう

教育費が1,400万円かかったとすると、目標金額である6,000万円との差額である4,600万円を60歳時に貯める必要があります。今後の貯蓄がどう推移するかシミュレーションを見てみましょう。

現在の生活費が変わらずに、私立中学、高校、大学(文系)に進学した場合、黄色い軸の収入が灰色の軸の支出を下回るのは8年後の大学初年度のみで、途中の増え方は緩やかになるものの、順調に資産は増えていきます。このシミュレーションでは、60歳時に6,000万円を超え、マンション購入に2,000万円を支払い、その後障害年金がもらえなくなったとしても、老後の生活は安泰です。

万が一の場合は?

一方で、障害年金が万が一もらえなくなると達成が少し難しくなります。たとえば50歳に障害年金支給がストップすると、60歳時の貯蓄は4,358万円となるため、マンション購入はできるものの老後資金が少々不足気味に。その可能性があるのであれば、貯蓄を増やすために対策が必要でしょう。

また教育費にも想定外の支出があり、実際はシミュレーション通りにはいきません。たとえば、志望校合格がわかる前に支払った滑り止め校への入学金(返金する学校もあります)、お金がかかる部活や習い事、短期留学や留年、浪人、ダブルスクール、医歯系への進学希望など、想定外の支出が発生することも。そうなると、思うように貯蓄が増えず老後資金は予定どおり貯まりません。

このように、将来は読めないものです。どんな将来がきても大丈夫という状態にするには、今の生活を切り詰めて毎月の積立貯蓄をアップする必要があるでしょう。しかしそれでは今の生活が楽しめません。それではどうすれば良いでしょうか。

今も大切にして変化への対応力も身に付けよう

できるだけ今の生活を切り詰めずに、より貯蓄をしたい場合は、食費や日用品の節約ではなく、通信費や保険料など固定費の見直しをしましょう。

また、iDeCo(個人型確定拠出年金)の活用もおすすめ。会社員であれば毎月2万3,000円まで掛けられ、全額所得控除を受けられますので、年間5万5,200円(所得税率10%・住民税率10%とした場合)節税でき、この分を貯蓄にまわせます(勤務先によっては加入できないこともあります)。

読めない将来に備えるためには、変化への対応力をあげることも重要です。お金が足りなくなるかも知れないとわかったときに、ご家族ですぐに行動を起こせて収支を改善できるようにしておきましょう。お身体の状況にもよりますが、スマホやパソコンでできる簡単な副業情報にアンテナを張っておくと良いのでは。アンケートに答えたり、広告を見てポイントを得たり、データを入力するなど、今すぐできることもあるかも知れません。また、ご家族で本を読んで、お金に関する正しい知識を身に付けることもおすすめです。

お子様が小学生の今の生活も大切にしながら、無理ない範囲で将来に備えられるよう、将来の進路や夢のマンションのこと、また、お金の使い道や家計の見直しのことなど、ぜひご家族で話し合い、楽しい生活を送ってくださいね。

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