今オフは鈴木翔太が“再就職”第1号に…「元中日」ブランドが重宝されてきた訳

中日を戦力外となり阪神に育成選手として入団が決まった鈴木翔太【写真:荒川祐史】

14年オフには吉川大幾、森越祐人ら戦力外5選手が他球団へ

中日は今オフ、育成を含めた日本人9選手に戦力外を通告した。現役引退を決断する選手もいる中で、12球団合同トライアウトを受けずに早くも新天地が決まった選手も。2013年ドラフト1位の鈴木翔太投手は、育成選手として阪神への入団が決定。まだ25歳の右腕に、再起の可能性は十分にあると判断された。

「他球団に行けば…」。2軍でくすぶっている若手選手の姿を見て、そう漏らす他球団の関係者は少なくない。裏を返せば、「元中日」ブランドが重宝されている証拠でもある。直近でも、17年限りで戦力外になった武藤祐太投手はDeNAが獲得。今季は「オープナー」の適性を見出されるなど、必要な戦力になっている。

顕著だったのは14年オフ。育成を含め計12人が戦力外となったが、次々と“再就職先”が決まっていった。吉川大幾内野手は巨人へ。今季に戦力外通告されるまで、6年間プレーした。森越祐人内野手は阪神へ。19年限りで退団するも、今季は西武でプレーした。さらに、堂上剛裕外野手は育成として巨人に加入すると、その年に支配下を掴んで17年まで現役として在籍。矢地健人投手はロッテに行き、田中大輔捕手はオリックスの一員となった。

その当時、中日から他球団に移ったあるスタッフは「中日の選手は本当に野球を知っていた。同じことを今のチームで伝えても、なかなか理解できない」と漏らしたことも。落合博満GMが監督として率いていた黄金時代、12球団担当スコアラー制を導入し、ミーティングの段階から質の高い野球をたたき込んできた。その“野球偏差値の高さ”が、戦力外になっても他球団には魅力的に映ったのかもしれない。

また、戦力外ではないが、新天地で輝きを増した選手も少なくない。サイド左腕の小川龍也投手は18年に西武に移籍。19年にはキャリアハイの55試合に登板してリーグ連覇に貢献した。さらに遡ると、鉄平外野手(現楽天1軍打撃コーチ)は06年に楽天にトレードで移り、主力としてチームの創成期を支えた。ポテンシャルを秘めた「元中日」選手たち。今後の去就にも注目が集まる。(Full-Count編集部)

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