【コラム】独力でF1テスト参加のチャンスをつかんだ佐藤万璃音。キャリアのステップを目指せ

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 12月9日、スクーデリア・アルファタウリは12月15日からアブダビのヤス・マリーナでスタートするF1ヤングドライバーテストで、佐藤万璃音を起用すると発表した。万璃音は1999年神奈川県出身。2020年はFIA-F2に参戦してきたが、自動車メーカーのバックアップに頼らず、F1テストまでこぎつけてみせた。

 万璃音は1999年生まれ。レーシングドライバーのなかでは、海外ではダニエル・ティクトゥムやジョウ・グァンユー、国内では今季スーパーフォーミュラ・ライツを戦った宮田莉朋や阪口晴南が同い年にあたる。今回、アルファタウリからともにヤングドライバーテストに参加することになった角田裕毅は1歳年下だ。

 日本で幼少期からレーシングカートを戦ってきた万璃音は、中学を卒業するとともに渡欧。イタリアF4を戦い、2017年からはモトパークに加わりFIAヨーロピアンF3に参戦。2018年はランキング16位という結果となったが、マカオGPでは常に日本人最上位につける戦いぶりをみせてきた。

 2019年には、モトパークとともにそれまでのF3車両で争われていたユーロフォーミュラ・オープンに参戦した。ここで万璃音は、同じレーススケジュールで参戦したリアム・ローソン、そして角田といったモトパークのチームメイト、ルーカス・ダナー(テオ・マーティン)、名取鉄平(カーリン)等のメンバーを下し、9勝をマーク。チャンピオンに輝いた。

 これは推論だが、同じモトパークから参戦したローソン、角田というふたりのレッドブルドライバーを圧倒的な成績で下したことが今回のテスト参加というチャンスに繋がったのではないだろうか。F2という土俵だけでは見えない部分がレッドブル/アルファタウリにあったのかもしれない。

 そんな万璃音だが、当然ながらヨーロッパでの暮らしも長く、英語、イタリア語が堪能。今回参加するアルファタウリでチームと打ち解けるのは早いのではないだろうか。また、ル・マン24時間やスーパーフォーミュラのテストでも、その流暢な語学力で日本人と外国人を“繋ぐ”存在として活躍している。

 筆者はこれまでマカオやル・マン、そして日本国内で、まだ十代の頃から何度も万璃音と話をさせてもらったが、21歳とは思えないほどフランクで、かつしっかりと受け答えをする若者だ。独力でこれまでヨーロッパのフォーミュラをステップアップしてきたという実績は、速さだけでも資金力だけでも実現しないことで、F1テストまでこぎつけたことは大きく評価されるべきだし、何より世界中でドライバー育成を行っているレッドブル/アルファタウリは、いわゆる“持ち込み”では乗れないシートなのは、F1ファンならご存知だろう。

 当然ながら、今回の万璃音のアルファタウリへのテスト参加は即F1ドライバーへの契約に繋がる……というものではない。何より万璃音の場合は、スーパーライセンス取得のためのポイントが足りない状況だ。またテストでも、すでにF1ドライブ経験をもっている角田がテスト序盤はリードしていくはずだ。

 ただ、アルファタウリのフランツ・トスト代表が「技術的な面からも、彼が来年F2を戦うのにあたって得られるものが多いはずだ。この機会は、彼の将来に向けた良い準備になるだろうし、彼の成長は我々が望むキャリアの成功に繋がることだろう」と言うとおり、今後のキャリアのステップボードとして、今回のヤングドライバーテスト参加は大きなチャンスとなるはず。テストでまずは大きなインパクトを残すことを期待したい。

FIA-F2モンツァ 佐藤万璃音
FIA-F2に参戦する佐藤万璃音
セルジオ・セッテ・カマラ(Buzz Racing Team with B-Max)と佐藤万璃音
最終戦を待たずして2019年のユーロフォーミュラ・オープン王者に輝いた佐藤万璃音(モトパーク)
ル・マン24時間に初めて挑戦したカーガイ・レーシングの木村武史。チームには佐藤万璃音がコーチと通訳として加わった。
佐藤万璃音(モトパーク・アカデミー)