【F1第16戦無線レビュー(3)】防戦一方ボッタスに追いついたサインツJr.「このメルセデスはなぜこんなに遅いんだ」

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 F1第16戦サクヒールGPの決勝レース62周目、メルセデスはダブルピットストップを行ったが、その際無線システムの不調によりジョージ・ラッセルとバルテリ・ボッタスのタイヤをつけ間違えてしまうというミスを犯した。そこから再び上位を目指して戦うふたりだが、ラッセルにはさらなる不運が。レース後半のメルセデスの様子を、無線とともに振り返る

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 62周目に入ったセーフティーカーのタイミングを利用して、ポジションを失うことなく、タイヤを済ませようとしたメルセデスの作戦は、無線システムの不調から大混乱。そして、ラッセルがピットアウトした直後に、誤ったタイヤを装着させていたことに気が付く。

メルセデス:異なるタイヤが混じっていたから、もう一度ピットインだ

 そのことは、ボッタスにも知らされる。

メルセデス:いまジョージが再びピットに入った。誤ったタイヤを装着させてしまったようだ。我々はポジションをいくつか失っている。

 正しいミディアムに交換してピットアウトしたラッセルは、5番手に後退してしまう。

2020年F1第16戦サクヒールGP ジョージ・ラッセル(メルセデス)

ラッセル:バルテリはもう前に出た?
メルセデス:そうだ、もう前に出ている。でも、彼は14周走ったハードタイヤだ
ラッセル:いま2番手だよね?
メルセデス:現時点では5番手だ。でも、前の4台はみんな中古のタイヤだ
ラッセル:あと何周残っているの?
メルセデス:残りの周回数は24周だ。
ラッセル:前に何台いる?
メルセデス:P1がペレスで、あとはオコン、ストロール、バルテリ、そして君だ
ラッセル:彼らのタイヤはどれくらい古い?
メルセデス:ペレスが17周のハード、オコンは23周のハード、ストロールは22周のミディアム、そしてバルテリは15周のミディアム……間違えた、バルテリは15周のハードだった。だから、タイヤに関しては我々のほうが(中古のボッタスよりも)大きなアドバンテージがある。まだチャンスはある
ラッセル:マジでそう願いたいね
メルセデス:デブリ(破片)がコース上に散らばっている。ターン1から2にかけて、気をつけろ。セーフティーカーがこの周で退去するから、ストラット5を選択するのを忘れないように。それから、DASをリセットしておくように。そして、(ブレーキの)マジックをキャンセルしろ。いま(セーフティカーの警告灯が)消えた

 レース再開後、ボッタスのペースが上がらない。70周目にチームメートのラッセルにオーバーテイクされると、防戦一方となる。

カルロス・サインツJr.:このメルセデス(ボッタス)はどうしてこんなに遅いんだよ。カモーン

2020年F1第16戦サクヒールGP カルロス・サインツJr.(マクラーレン)

 逆にチームメートのラッセルは逆転優勝を目指してペースアップ。

メルセデス:いま、君がコース上で一番速いぞ

 73周目には2番手まで上がっていたラッセルだが、その直後、無常とも思える無線がラッセルに入る。

メルセデス:左リヤがパンクしているようだ
ラッセル:ピットインする? それともステイアウト?
メルセデス:とりあえず、ステイアウトだ。この周は大丈夫だと思う。
ラッセル:聞こえない。BOX?
メルセデス:BOX、BOX、BOX。完全にパンクしている
ラッセル:わかった、ピットインする。でも、パンクしているようには感じないんだけど
メルセデス:BOX、BOX、BOX。完全なパンクだ
ラッセル:ああ゛ーーーっ。なんて言っていいか、わからない
メルセデス:わかっている。我々も君と同じ気持ちだ。いまは残りのレースに集中していこう!!

 78周目に3度目のピットストップを行ったラッセルは、これで14番手に大きく後退。これを見たレーシングポイントはトップのペレスにこう指示を出す。

レーシングポイント:タイヤを労って、温度をキープして走っていいぞ

 1ストップの予定が4ストップになったラッセル。結果的にピットストップ時に履いたタイヤで走り続けるレースを強いられたボッタスは、大きくペースダウン。

ボッタス:このタイヤは最悪だ
メルセデス:ジョージがソフトタイヤでどんどんオーバーテイクしている。ファイナルラップでバトルになるだろう

 こうして、フロントロウからスタートしたメルセデスはボッタスが8位、ラッセルが9位でフィニッシュした。

2020年F1第16戦サクヒールGP バルテリ・ボッタス&ジョージ・ラッセル(メルセデス)