野上農相 就任後初の諫干視察へ 20日軸に調整

 国営諫早湾干拓事業の開門調査問題を巡り、野上浩太郎農相が20日を軸に現地を訪問する方向で調整していることが9日、関係者への取材で分かった。現地視察は9月の就任後初めて。福岡高裁の開門確定判決から21日で10年を迎える中、野上農相の発言に注目が集まる。
 同事業を巡る一連の訴訟では、国に開門を禁じる判決が昨年6月、最高裁で確定するなど「開門を認めない」司法判断が続いている。国は2017年4月に「開門によらない100億円の漁業振興基金による和解」方針を示したが、開門派漁業者側と条件に隔たりがあり、和解協議のめどは立っていない。
 これまでの歴代農相は就任1カ月前後で現地視察をすることが多かったが、野上農相は「新型コロナウイルスの感染状況を勘案する必要がある」とし、2カ月以上が経過しても現地を訪れていなかった。農相の視察に関して、県諫早湾干拓課は「日程を含めて調整中」とした。

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