コロナ禍で睡眠の質が低下!会社として取り組めることとは?

依然として世界中で猛威をふるい続けている新型コロナウイルス。
経済活動などさまざまなものに対して大きな打撃を与えていますが、コロナは私たちの「睡眠」にも影響を及ぼしているようです。

今回は、従業員の睡眠に関して会社として取り組めることをご紹介します。

コロナ禍で生活リズムが乱れ、睡眠の質が低下している

株式会社ヒュプノスが2020年8月に、10代~70代の男女955名を対象とした「コロナが睡眠に及ぼした影響」についてのアンケート調査を実施しました。
この調査によると、全体の約3割の人々が、睡眠の質が下がったと回答。
また、約2割は睡眠時間が短くなったと回答しています。

睡眠時間が短くなった理由とは?

なぜ、コロナ禍で睡眠時間が短くなってしまったのでしょうか。
アンケートでは以下のような理由が挙げられていました。

・ 生活リズムが崩れたから
・ コロナ関連のストレスや不安により寝つきが悪くなったから
・ 家事育児が増えたから
・ コロナ前よりも運動量が減り、寝つきが悪くなったから
・ 収入が減り、仕事を増やしたから
・ 出社時間が早くなり、早く起きるようになったから
・ リモートワークにより仕事の終わりに区切りがつかなくなったから

従業員の睡眠の質や睡眠時間を増やすために取り組めることは何か?

睡眠時間が短くなってしまった理由はさまざまあるようですが、中には、会社として防止・予防が可能なものがあるのではないかと思います。
上記のうち、2つの理由について解説します。

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【理由】リモートワークにより仕事の終わりに区切りがつかなくなったから

勤務時間の管理が必要!
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勤務時間の管理は会社側の義務です。
しかし、会社に出社して行う通常の勤務とは異なるリモートワークにおける勤務時間管理の問題点が、とあるアンケート調査で明らかになっています。

労働組合の中央組織「連合」が、4月以降にテレワーク、リモートワークを経験した全国1,000人を対象に行ったアンケート調査によると、「通常の勤務より長時間労働になることがあった」と回答した人は51.5%。
一方で「テレワーク、リモートワークで時間外や休日労働をした」と回答した381人のうち、「時間管理がされていない」「申告しづらい雰囲気がある」などの理由で、「残業代を申告しないことがあった」と回答した人は65.1%にも上っています。

過重労働が増えると、身体的にも精神的にも不調のリスクが高まり、従業員はもちろんのこと、会社側としても大きな損失です。
リモートワークは通勤の必要がなかったり、働く場所が自由だったりと従業員側のメリットが多いですが、会社側としては対面でない分、なかなか目の行き届かない部分も出てきます。
この調査結果から、時間管理をしっかりと行うことはもちろんですが、残業が発生する場合にきちんと申し出ることができる雰囲気、風土を日頃から作っておくことも、とても大事であることが分かります。

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【理由】コロナ前よりも運動量が減り、寝つきが悪くなったから

運動不足の解消が必要!
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コロナ禍によって思うように外出ができず、運動不足に悩まれた人は非常に多かったのではないかと思います。
筆者の勤める会社でも同様の理由から、従業員の運動不足が懸念されていました。

そこで満を持して今年6月に1か月間開催されたのが「社内ウォーキングイベント」でした。
このイベントでは、健康管理アプリを使用して日々の歩数を計測し、歩数を競うというものですが、全従業員の中で1か月の合計歩数がトップだった人は1万円以内で好きな健康関連グッズをもらうことができるなど、とても豪華なインセンティブがありました!
結果として、毎日乗る電車の1駅~2駅前から歩いて出社、もしくは帰宅したり、退勤後にランニングを行ったりする従業員が増え、運動不足解消に効果てきめんの素晴らしいイベントとなりました。
社員のヘルスリテラシー向上にも一役買ったのではないかと思います。

睡眠は人間の三大欲求の一つです。
私たちは眠ることで疲れを癒し、その日に起きた出来事を整理するので、しっかりと眠ることができなければ、身体的にも精神的にも不調をきたし、私生活はもちろん、仕事にも悪影響を及ぼします。

個人のセルフケアも重要ですが、このコロナ禍で会社としてできることがあるならば、積極的に取り組むことも必要ではないかと感じます。
産業保健新聞では他にも睡眠に関しての記事を掲載しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

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<参考>
快眠ベッド生活みんかつ(株式会社ヒュプノス運営)「コロナが睡眠に及ぼした影響アンケート結果」
東京新聞「テレワーク『隠れ残業』増 『通常より長時間労働になった』51%」

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