石木ダム工事で平穏生活権侵害 控訴審第2回口頭弁論 住民主張

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、水没予定地の住民らが県と同市に工事差し止めを求めた訴訟の控訴審第2回口頭弁論が10日、福岡高裁(矢尾渉裁判長)であった。住民側は、自分で選択した土地で平穏に暮らす「平穏生活権」の侵害を主張した。
 代理人弁護士が意見陳述。東京電力福島第1原発事故の避難民の「平穏生活権」を認めた福島地裁、仙台高裁の判例を引きながら、「石木ダム工事でも同様の権利の侵害があり、土地収用法でも補償されていない」と訴えた。ダム治水の問題点や代替案の可能性を指摘した準備書面も提出し、代理人弁護士が口頭で趣旨を説明した。
 県と佐世保市は、事業の正当性を訴える準備書面を提出。住民らが主張する権利侵害には、次回以降反論する姿勢も示した。次回期日は来年3月25日。
 同ダムを巡っては、反対住民らが国に事業認定取り消しを求めた訴訟で最高裁が10月に上告を退け、住民側敗訴が確定した。

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