再エネ100%目標、宮崎県内でも拡大 企業価値アップ狙う

「RE Action」ホームページ画面

 太陽光や風力といった再生可能エネルギーで、企業活動の全電力を賄おうとする動きが宮崎

県内でもじわり増え始めた。アイ・ホーム(宮崎市)とMFE HIMUKA(日向市)の2社は、再生エネ100%を目指す中小企業の枠組み「RE Action(アールイー・アクション)」に参加。環境に配慮した経営を打ち出し企業価値を高めることを狙う。

 再生エネの導入で脱炭素社会を目指す取り組みは、地球温暖化対策の世界的な枠組み「パリ協定」を機に拡大。2014年には国際的な企業連合「RE100」=U 1208ミZZ07001000=が発足し、50年までの目標を定める。19年には中小企業向けの「REAction」も設立された。

 注文住宅を手掛けるアイ・ホームは11月、「RE Action」に参加。SDGs(持続可能な開発目標)の取り組みの一環として21年達成を目標に掲げ、「家造りを通じて宮崎に幸福度ナンバーワンの住まい環境づくりを行う」などと宣言した。

 太陽光だけでは達成が難しいため、小売電気事業者「エバーグリーン・リテイリング」(東京)と年内に契約する計画。販売する住宅の省エネに加え、事務所の再生エネ100%も目指しており、宜野座俊彦社長は「RE Actionに参加することで社員の意識向上を図り、地球に優しい住まいの普及につなげたい」と力を込める。

 食品工場向けの機械・設備設計などを手掛けるMFE HIMUKAは昨年50周年を迎えたのを機に、食と環境とエネルギー分野で地域内循環を作り出し、持続可能な社会づくりに貢献するという目標を掲げる。「RE Action」もその一環で、30年までの再エネ100%を目指す。

 送電線からの電気を使わず再エネで自給する「オフグリッド」システムを構築中で、島原俊英社長は「地域資源を最大限に活用して経済循環を作り直し、地域の明るい未来へ貢献したい」と意気込みを示す。

 太陽光発電などエネルギー問題に詳しい宮崎大工学部の吉野賢二教授は「RE100やREActionの取り組みは世界的な流れ。脱炭素化への取り組みは大きなビジネスチャンスでもあり、地域の復興にも役立つ」と話している。

 自治体の動きも活発だ。二酸化炭素(CO2)の排出を「2050年までに実質ゼロ」とする「ゼロカーボン」を目指す自治体は急増している。

 環境省ホームページによると、12月3日時点で180の自治体が「ゼロ宣言」を表明。19年9月の4自治体から右肩上がりで増えている。対象人口は約8200万人と全人口の半数を超え、GDPは約378兆円に上る。

 九州では熊本、大分2県のほか、福岡、長崎、佐賀、熊本、鹿児島県内の26市町村が表明している。

 本県でもゼロ宣言に向けた動きは進む。県環境森林課によると、第4次県環境基本計画(2021~30年度)の重点プロジェクトに、50年までのゼロカーボン社会づくりを掲げている。

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