県立小田原高120周年 ネットで“記念式典” あいさつに記念講演…まるでリアルのよう

インターネット上で創立120周年を祝った小田原高校のバーチャル記念式典(樫友会ホームページから)

 創立120周年を今年迎えた神奈川県立小田原高校(小田原市城山)の記念式典がバーチャルで“開催中”だ。新型コロナウイルスの影響で大勢が集まる式典ができなくても歴史や伝統を次世代に伝えたいと、同校やPTA、同窓会組織「樫友会」からなる実行委員会がインターネット配信した。バーチャル式典は式次第に沿って関係者のあいさつ、記念講演などの動画が並び、本物さながらの内容になっている。

 同校ではこれまで節目に周年記念事業を行ってきたが、120周年の今回は「3密」を避けるため、実行委が6月、従来型の式典の中止を決定。代替策として式典開催予定だった11月20日からバーチャル式典のデジタル配信を始めた。ネット上とはいえ、記録としてしっかり残そうと、できる限り「記念式典らしさ」にこだわった。

 樫友会ホームページに掲載されたバーチャル式典特設サイトには、式典名と国、県、旧制小田原中学、小田原高の旗が掲げられ、式次第や個々に撮影された動画が並ぶ。

 同校OBで元副知事の吉川伸治実行委員長、林忠校長らの祝辞に始まり、「来賓」として桐谷次郎県教育長、やはりOBの守屋輝彦小田原市長のあいさつもある。実行委員長から生徒代表への記念品の贈呈と続き、最後は各校の卒業生と現役生徒が一緒に校歌を歌うイベント「青春かながわ校歌祭」で撮影された校歌斉唱の動画で締めくくられている。

 高校の式典らしく、卒業生による記念講演も用意。ノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典博士に付いてオートファジー研究をしてきた東京工業大の中戸川仁准教授が「自分が面白いと思う研究をしよう」と題して、後輩へ興味や好奇心を出発点とする基礎研究の大切さを説いた。

 吉川実行委員長は「ネットでも式典の色彩は変わらない。これまでの式典は出席者しか内容が分からなかったが、これなら全ての卒業生に知ってもらえる。こういう形式でもできることを示せた」と話している。

 「小田高」の愛称で親しまれる同校は、1900年に「神奈川県第二中学校」(旧制)として開校。13年に小田原中学校と改称した。戦後の学制改革で小田原高校となり、2004年に県立小田原城内高校と統合した。

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