内川、能見、福留… 新天地へ移るベテランたちの一筋縄ではいかない起用法を予想

ヤクルトが獲得を発表した内川聖一(左)と中日が獲得を発表した福留孝介【写真:荒川祐史】

内川はヤクルト、能見はオリックス、福留は中日へと移籍

2020年のプロ野球もシーズンオフに入った。今オフは球界をこれまで支えてきたベテランたちが新天地に向かう動きが際立つ。

ソフトバンクを退団した内川聖一内野手はヤクルトに入団が決まり、阪神を退団した能見篤史投手は投手コーチ兼任でオリックスへ。同じく阪神を退団した福留孝介外野手は古巣の中日に14年ぶりに復帰することになった。

では内川、能見、福留のベテラン勢は新天地でどのように起用されるのか。それぞれの球団のチーム状況から探ってみよう。

今季ソフトバンクで1軍出場がなく2軍暮らしが続いた内川。現役最多2141安打を放ってきた安打製造機はヤクルトではどんな起用法になるだろうか。

今オフ、ヤクルトは積極的に補強に動いている。野手ではメジャー通算77本塁打のドミンゴ・サンタナ外野手と同24本塁打のホセ・オスナ内野手の加入が決定。サンタナは外野手、オスナは主に一塁手を務め、三塁や外野でもプレーしている。

オリックスが獲得を発表した能見篤史【写真:荒川祐史】

内川が加入したヤクルトは同じ一塁手で助っ人オスナも獲得

ヤクルトは内野手で村上宗隆、山田哲人と球界で屈指の強打者がいる。外野手でもベテランの青木宣親、坂口智隆が健在だ。オスナを一塁で起用するとなれば、村上を三塁に固定し、外野は青木、坂口、サンタナの顔ぶれとなることが有力だ。ここに若手、中堅がどう絡んでくるか、という構図になるだろう。

内川は長らく外野手としてプレーしてきていたが、2016年以降はほぼ一塁手に固定されており、ここ5年間で外野手としては2017年に2試合に出場しただけ。ヤクルトでも基本は一塁手となる可能性が高そうだが、そこはオスナとポジションが被ることになる。

内川の勝負強さは折り紙付きで、想定されるのはまずは手薄な右の代打か。切り札としての起用を想定しつつ、オスナの適応次第で一塁手のスタメンの芽が見えてくる。

オリックスに入団した能見はどうか。今季のオリックスはチーム防御率3.97こそソフトバンク、ロッテに次ぐ3位だったが、救援防御率4.07はリーグワースト。山本由伸、山岡泰輔らを擁する先発陣に比べて、救援陣の弱さは明白だった。

福留が復帰した中日も外野手で新助っ人ガーバーを補強

今季は富山凌雅や齋藤綱記といった救援左腕が頭角を現したが、まだまだ経験不足。能見自身は今季セ・リーグで34試合に投げて、防御率4.74という成績だった。一線級の成績を期待するのは酷だが、前述の若手左腕たちへの経験の伝承、そして投手コーチとしての指導面も期待しての獲得だろう。

それは球界最年長野手の福留も同様だろう。すでに43歳で、今季は1軍でわずか43試合出場、打率.154と結果を残せなかった。年齢的にも1年を通してレギュラーとして出続けることは難しいだろう。

中日の外野は大島洋平外野手が不動の存在。アルモンテが退団となったが、それに代わる新戦力として前ロッキーズのマイク・ガーバー外野手の加入が決まっている。大島とガーバーの2人は主力として起用されるだろう。

2人の他にも平田良介外野手や福田永将内野手、外野にも挑戦している期待の根尾昂内野手らが控えており、福留がここに割って入れるか。ここ一番の勝負強さに期待して、手薄な左の代打での起用が現実的なファーストチョイスとなりそう。その経験を伝え、若手育成に一役買ってもらいたいという狙いももちろんあるだろう。(Full-Count編集部)

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