禎子の折り鶴、歌い続け おいの祐滋さん、オンライン配信へ 映画制作CF募る

佐々木禎子さんの思いを込めた楽曲「INORI」を収録する佐々木祐滋さん=みどりアートパーク

 広島市の平和記念公園にある「原爆の子の像」のモデルになった佐々木禎子さんのおいで歌手の佐々木祐滋さん(50)が、平和への思いを歌い継いでいる。禎子さんの折り鶴をテーマにした楽曲「INORI」で命の大切さを伝え、原爆を巡る日米の今を描くドキュメンタリー映画も製作する予定だ。日米開戦から80年となる来年の1~2月、横浜市内で収録した祐滋さんの歌声がオンラインで配信される。

 禎子さんは2歳の時、広島市内の自宅で被爆。1955年、白血病により12歳で死亡した。広島赤十字・原爆病院で闘病中、千羽折れば元気に回復すると信じて鶴を折り続けた。禎子さんの死をきっかけに、折り鶴が平和への願いに結び付いたとされる。

 父親が禎子さんの兄に当たる祐滋さんは、ロックバンドのボーカル。2009年に作った楽曲「INORI」の歌詞に、禎子さんへの思いを込めた。

 〈泣いて泣いて泣き疲れて折り鶴にいつも励まされて〉

 東京都中野区在住で、09年には父親と設立したNPO法人「SADAKO LEGACY」の副代表に。歌や講演で横浜市内をはじめ全国の小中学校500校以上を訪れ、命や平和の尊さを伝えている。

 また、禎子さんが実際に折った約1センチの小さな折り鶴を米国ミズーリ州のトルーマン図書館、米ハワイ・真珠湾のアリゾナ記念館、ウクライナの国立チェルノブイリ博物館など5カ国に贈る活動を続けてきた。

 日米開戦から80年となる21年には、映画「折り鶴のキセキ(仮題)」を製作する予定だ。折り鶴を贈呈した施設を祐滋さんが取材と撮影で巡るという。禎子さんの誕生日の同年1月7日、製作費を募るクラウドファンディング(CF)を始める。映画は同年12月8日(日本時間)に真珠湾で開かれる式典を撮影し、22年中に公開する。

 祐滋さんは「禎子の本当の願いを伝えていくのは自分の役割。トルーマン図書館やアリゾナ記念館での取材を通じて、原爆投下を巡る日米の受け止めの違いを乗り越えるきっかけにもなれば」と話している。

 「INORI」は今年11月、横浜市緑区のみどりアートパーク(緑区民文化センター)で収録した。来年1月23日から2月7日まで、生活協同組合パルシステム神奈川のオンラインまつり「ハートカフェ」で無料視聴できる。問い合わせは、ハートカフェはパルシステム神奈川電話045(470)4172、映画製作は佐々木さん電話090(3078)8477。

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