【新型コロナ】神奈川県が宿泊療養施設の死亡例の経緯を発表 3時間以上結果的に放置

 11日に神奈川県内に設置している新型コロナウイルス感染症の無症状・軽症者向けの宿泊療養施設に入っていた患者1名が亡くなった件で、神奈川県は12日に対応の経緯を発表した。定期的に状況確認を行ってはいたが、医師が最後の救急場面まで関わることなく、看護師と保健師、県職員だけで対応していた実態が明らかになった。

神奈川県が発表した経緯

12月8日(火曜)

陽性判明。

12月9日(水曜)

宿泊療養施設に入所。現地看護師が入所時の問診(内線電話)を実施。体温37.8℃、血中酸素飽和度(SpO2)が89%だったため、再度SpO2の測定を依頼したところ、「表示が不安定だが、98%と表示された」と回答。緊急時はコロナ119へ連絡するよう案内。

12月11日(金曜)

  • 8時04分 

LINEによる健康観察に回答あり。(体温37.8℃、SpO2(86%)、頭痛とだるさあり、せきと息苦しさはなし)

  • 9時35分

現地看護師から内線・携帯に電話。携帯はつながるも切電される。

  • 9時43分

ご本人と会話ができないため、現地看護師から県庁の医療危機対策本部室保健師へ、ご本人への連絡を依頼。

  • 9時47分

県庁の医療危機対策本部室保健師からご本人へ架電。携帯はつながるも切電される。その後2回架電するが応答なし。

  • 10時17分

ご本人から療養サポート窓口に架電があったため、医療危機対策本部室保健師から折り返し電話。息苦しさの自覚はなく食事水分はとれている。寝すぎによる腰痛や頭痛があると報告。保健師からSpO2測定方法を指導し、体調悪化時はコロナ119へ架電するよう案内。

  • 16時03分

15時のLINEに回答がないことから、現地看護師が内線電話をするが応答せず。ご本人の携帯に架電し、つながったが切電される。

  • 17時30分

ご本人が夕食を取りに部屋の外に出ているかどうかが確認できないため、その後、19時台にかけて廊下のカメラの映像を確認。

  • 17時39分

現地県職員がご本人の携帯に架電するが応答なし。

  • 18時頃

現地県職員が医療危機対策本部室保健師に、昼間の様子について状況を確認。

  • 18時39分

現地看護師が内線で1回、携帯に2回架電するが応答なし。

  • 19時30分

現地県職員が入室を決定。現地看護師が内線に電話するが応答なし。

  • 19時57分

現地看護師1名と現地スタッフ1名が入室し、ベッドの上に仰向けで布団に入った状態で心肺停止になっていることを発見。心臓マッサージを開始。

  • 19時59分

救急車を要請。

  • 20時00分

現地県職員から医療危機対策本部室搬送調整班に連絡。

  • 20時19分

救急車が現地到着。

  • 20時32分

救急車が出発。

  • 20時42分

病院に到着。

  • 21時02分

病院において死亡を確認。

<死因>

新型コロナウイルス感染症による急性気管支肺炎

現時点での検証内容と対応策を発表

県は同時に、現時点での検証内容についても発表。指標のひとつであるSpO2について低い状態が検知されていたにもかかわらず経過観察としていたこと、本人と連絡がつかなくなってから訪室を行うまで約4時間が経過していることを問題視し、当面の対策としてSpO2の値が93%以下になった場合などは直ちに医師に連絡すること、定時の健康観察に加えて食事状況(弁当の受け取り)についても安否確認の機会とするとし、引き続き検証を行うとしている。

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