被爆者運動の資料 後世に 被団協とNPO法人 オンラインでシンポ

栗原さんが、資料保存の取り組みについて説明したオンラインシンポの画面

 被爆者運動の資料の保存などに取り組む東京のNPO法人「ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会」と日本原水爆被害者団体協議会(被団協)は12日、被爆75年を記念したシンポジウム「被爆者運動の足跡に向き合う」をオンラインで開いた。
 被爆者運動の資料の意義と活用の可能性を考え、継承に向けた課題を共有する狙い。被爆運動資料を用いた教育と研究の報告、継承する会の活動説明後、保存の在り方などについて議論を深めた。
 被爆者運動の資料を分析し、研究成果を発信している昭和女子大の松田忍准教授(日本近現代史)は、資料について「人間が原爆と向き合った歴史。核兵器が存在する今を生きていく若い世代にとって力になる。個人のメモや日記は特に貴重」と述べた。参加している学生は「資料を読み込むと、被爆者と対話しているような気持ちになる」などと感想を述べた。
 「-継承する会」は資料の保管、閲覧、発信拠点となる「継承センター」の設立を目指している。事務局の栗原淑江さんは「資料を保存、閲覧する場所と、学芸員や技術者など専門家が必要で、財源確保が課題」とした。全国各地に残る同様の資料について「小規模でもいいから実物を見られる場所を設けてほしい」とした。

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