元女王・高梨沙羅、22年北京五輪へ 「自分にしかできないジャンプ」模索

 高梨沙羅(クラレ)が今シーズンの戦いをスタートする。ノルディックスキーのワールドカップ(W杯)ジャンプ女子が18日、オーストリアのラムソーで開幕。2018年平昌冬季五輪銅メダル、W杯個人総合優勝4度を誇る24歳の元女王は、北京五輪も射程に入れ「自分にしかできないジャンプ」を模索してスタイルを改造中だ。2020年12月上旬、抱負を聞いた。(聞き手、共同通信=益吉数正)

インタビューに答える高梨沙羅

 ―コロナ禍で約2週間遅れ、W杯が始まります。心境は。

 不安な気持ちと楽しみな気持ちがある。2020年は、練習や試合ができない時間が続いて、考えることが相当多かった。これまではジャンプの本数を飛んで(技術を)自分のものにしていることが多かったので、その辺はちょっと不安要素です。

全日本選手権ジャンプの女子ノーマルヒルで4連覇した高梨沙羅=10月、白馬ジャンプ競技場

 ―2022年には北京五輪が開催されます。今シーズンの目標は。

 自分のジャンプをある程度仕上げていきたい気持ちがある。それで結果がどのぐらいついてくるのか見てみたい。

 ―北京五輪のテスト大会を兼ねていた中国でのW杯が中止になりました。

 やっぱり飛んだことのないジャンプ台なので、1度ぐらいは飛んでみたいと考えていたけど、こればかりは仕方ない。

平昌冬季五輪ジャンプ女子の表彰式で、銅メダルを胸に笑顔で手を振る高梨沙羅=18年2月、韓国・平昌

 ―平昌五輪後、『自分のスタイルを築き上げたい』とずっと言ってきましたね。当時と比べてジャンプはどう変わりましたか。

 全部変えたので、意識するポイントも変わってきている。スタート時のゲートの押し方や目線の位置も違う。細かく言うと、相当な違いがある。助走速度は出るようになってきた。そこは大きな進歩だと思っている。

 ―完成度は。

 まだまだですね。ただ女子もラージヒルの試合が多くなってくるので、空中部分の精度の高さがかなり重要視される。その辺はうまくつなげていきたいなと思う。

 ―求めている自分のスタイルとは。

 この体でいかに飛んでいけるか、と考えながらやっている。人それぞれ飛び方は全く違う。男子で言うと、佐藤幸椰選手と小林陵侑選手の飛び方は全然違うけど、2人とも第一線で活躍している。個性を持ったジャンパーって強いな、と私は思う。自分にしかできないジャンプをしたい。

W杯ジャンプ女子で優勝し、通算100度目の表彰台に立った高梨沙羅=3月、リレハンメル(AP=共同)

 ―平昌五輪の時と何が違うか、改めて話してもらえますか。

 うーん、何が違うかな。やっぱりどんな意見を聞いても、やるのは自分だと思うので、その意見を聞いた上でいろいろ判断する。アドバイスは大事だと思うけど、それを聞いて行動するか行動しないかは自分にかかっているから、『自分に聞くのが一番早いんじゃないかな』と思うようになった。

 ―会員制交流サイト(SNS)を始め、インターネット上での誹謗中傷など社会問題に言及したこともありました。幼いころから注目を浴びてきただけに、思うところがあるのですか。

 SNSをやり始めてから、今までやってきていたことが、より一般の方の目に見えやすくなったような感じがする。(意識は)別に何も変わらない。私は人の人数だけの意見があって当たり前だと思う。

インタビューに答える高梨沙羅

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