【新型コロナ】GoTo停止 箱根「厳しい正月に」 決断の遅さに疑問も

平日にもかかわらず多くの観光客らでにぎわう箱根湯本駅前の商店街=15日午後、箱根町

 「とても残念」「仕方ない」─。政府が観光支援事業「Go To トラベル」を全国で一時停止すると表明してから一夜明けた15日、神奈川県内の観光事業者から深いため息がもれた。旅館やホテルはキャンセルが相次ぎ、年末年始の書き入れ時に水を差された格好。帰省などでの利用予定者にも戸惑いと憤りが広がった。感染拡大を防ぐにはやむを得ないとの見方がある一方、政府の決断の遅さを疑問視する声も聞こえてきた。

 冬晴れの箱根。玄関口の箱根湯本駅前は、「地域共通クーポン」を手に土産物を買い求める多くの観光客でにぎわった。東京都内から夫婦で1泊旅行に訪れた女性(70)は「自分たちはタイミングが良かっただけなのか…」。土産物店の男性従業員は「箱根駅伝の沿道応援も自粛となり、GoToが観光客減少の穴埋めになると思っていたのに」と落胆し、「厳しい正月になる」と表情を曇らせた。

 一方、強羅地区の旅館には、半日で十数件のキャンセルや問い合わせが寄せられたという。経営する60代男性は「GoToはコロナ収束後のリピーターを獲得する上で重要なだけに、とても残念だ」と話した。

 横浜市内のホテルでもキャンセルが出始めた。秋以降の予約が入っていた中での停止決定に、関係者は「影響は避けられない。自粛ムードが一層広がる」と肩を落とす。別のホテルの担当者は、感染拡大が続く現状から「仕方ない」と受け止めるが、「年末年始の影響を少なくするため対象エリアを制限するなど、もっと早くアクションを起こすべきではなかったか」と政府の対応に疑問を呈した。

 「近場で楽しめる観光地」として、9月の大型連休後からにぎわいを取り戻してきた鎌倉。菓子店の社員は「地域クーポンの利用も多かっただけに残念」としつつ、「感染を抑えることが第一」と複雑な心境。ただ、キャンペーンが休止になっても「初詣などで、どっと人が訪れるかもしれない」と不安を募らせた。

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