ロックダウンの段階的緩和が開始 @オーストリア・ウィーン【12月10日】 新型コロナウイルス 世界の反応・現地レポ

▲ホリデーシーズンらしい華やかなウインドウも登場。感染抑制の兆し見えぬまま

 ウィーンでは12月7日、11月から続いていたロックダウンの緩和が段階的に実施されはじめた。だが、9日時点の統計では新規感染者数2400人、死亡者54人となっており、ロックダウン実施後も感染者数がさほど減少していないことから規制緩和は緩やかに進められるとみられている。

 7日からは外出禁止時間が夜8時から朝6時までに緩和された。だが、これまで同様、身体および精神的に必要とされるレクリエーションのための外出などは許可されているほか、警察による取り締まりもないため、夜8時以降も外出している人は少なくない。また、小売店や理美容店は感染予防措置を取ることを条件に営業再開が認められた。店内でのマスク着用はもちろん、入店者数も店舗面積10平方メートルあたり1人までに制限される。そのため、小規模な店舗では入店のために行列が出来ていることも少なくない。

 こうした状況から、オンラインで買い物する人も増えているようだ。12月はクリスマス用のギフトが人気で、例年以上にオンラインでの買い物が増えていることから郵便局や運送会社が多忙を極めている。先日郵便局を訪れた知人によれば「受付に50人以上並んでいた」といい、配達の遅れや荷物の紛失といったトラブルも増えているようだ。

 営業再開が見送られた業種も少なくない。飲食店は1月7日まで営業再開が延期。クリスマスシーズンの営業が見送られたことから、経済的打撃に苦しむ声が上がっている。また、コンサート会場や劇場、オペラ会場などの文化施設も1月6日まで閉鎖となった。そのため毎年開催されているウィーンフィルハーモニー管弦楽団によるクリスマスコンサートは中止、ニューイヤーコンサートは無観客での開催といわれている。毎年ウィーンにはこれらのコンサートのために国内外から数多くの人が訪れていたため、観光産業にとって再び大きな打撃となりそうだ。また、市内で毎年行われているクリスマスマーケットも中止が決定。市はこれまで時期や規模を縮小しながらの開催を検討していたが、感染状況が改善していない状況を受け、正式に中止を発表した。

 オーストリアではコロナのワクチン開発が進められており、最近になって集団治験が開始された。来年初頭には一般への接種も開始されるといわれている。長く続く自粛から暗いムードが漂っている中、ワクチン開発への期待が高まっている。

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