選手会は162試合制での通常通りのシーズン開催を希望

メジャーリーグ各球団のオーナーが2021年シーズンの開幕を5月まで延期することを希望していることが報じられるなか、「ジ・アスレチック」のエバン・ドレリッチによると、メジャーリーグ選手会は来季から162試合制に復帰するプランを立てているようだ。選手会の労使交渉責任者であるブルース・マイヤーは「シーズンの開始時期と期間に疑問が投げかけられているが、選手たちは通常通りのスケジュールで春季キャンプと162試合制のシーズンを行う準備をしている」と話している。

各球団のオーナーのなかには「2月に春季キャンプをスタートするのは難しい」「5月に開幕して130試合制で行う」といった趣旨の発言をしている者もいる。おそらく、無観客で開催される試合数を可能な限り減らしたいのだろう。しかし、2020年シーズンは例年より102試合も少ない60試合制で開催され、選手たちは完全な日割り給与によって大幅な収入減を強いられた。選手会がオーナー側の提案を受け入れる可能性はないと言っても過言ではないだろう。

ただし、ドレリッチによると、選手会はスケジュールの見直しに必ずしも反対しているわけではないという。「162試合制で行われる」または「フルシーズンの給与が保証される」のであれば、シーズン開催時期の変更や試合数の削減にも応じるつもりがあるようだ。とはいえ、オーナー側はシーズン全体のスケジュールをそのまま後ろにスライドさせて11月や12月にポストシーズンを開催することには否定的であり、開幕を延期したうえで162試合制のシーズンを開催するのは困難であると思われる。また、いつ・どれくらいの観客を入れられるか見通しが立たない以上、試合数を削減したうえでフルシーズンの給与を保証するのも現実的な話とは言えない。

今季の開幕前に両者の対立が泥沼化し、結果としてシーズン開幕が7月下旬までずれ込んでしまったように、再び両者の対立が泥沼化していく可能性もある。2021年12月には現在の労使協定が期限切れとなるため、新たな労使協定の締結に向けた交渉も必要だ。再び始まりつつある対立が近い将来のストライキという最悪の結果につながらないことを願うばかりである。

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