古川登志夫&柿沼紫乃夫婦は、どんなキャラの声でもパートナーの声だとわかる!? 映画『声優夫婦の甘くない生活』の魅力や映画愛エピソードを語る!

柿沼紫乃さん(左)、古川登志夫さん(右) 写真:小林 恵里

イスラエルから届いたユーモラスで心あたたまる大人の珠玉作『声優夫婦の甘くない生活』が、2020年12月18日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開される。本作を「良質映画」と絶賛するレジェンド声優夫婦の古川登志夫さんと柿沼紫乃さんのプロ声優の熟練の演技、あの名作の吹き替え秘話から、映画愛エピソードなどパンフレット収録の対談の一部をご紹介したい!

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本作は、ソ連からイスラエルに移住したスター声優夫婦の第二の人生が描かれる。夢の移住生活を思い描いていた二人だが、イスラエルでは声優の仕事がないという現実に直面。それぞれ新しい仕事に出会うも、それはアブない香りが漂うものだった!夫婦の関係は急激に変化を遂げていき、終止符を打つかどうか悩んでしまうほどに。長年連れ添った二人が最後に行き着く答えとは一体――!?

フェデリコ・フェリーニや、ハリウッドの往年の名作へのオマージュ、アキ・カウリスマキを思わせるクラシカルな映像が本作を彩る。監督はエフゲニー・ルーマンがつとめ、主人公の夫婦をウラジミール・フリードマンマリア・ベルキンが演じる。

2020年11月22日のいい夫婦の日に行われた本作の一般試写会で、ゲストに古川登志夫さんと柿沼紫乃さんが登壇し、リアル声優夫婦ならではのトークが話題を呼んだ。古川さんは、「ONE PIECE」ポートガス・D・エース「ドラゴンボール」シリーズのピッコロなど国民的人気アニメから、洋画の吹き替えでは『バットマン フォーエヴァー』(1995年)のジム・キャリー『愛と哀しみの果て』(1985年)のロバート・レッドフォードまで数多くのハリウッドスターの声を務めてきた。柿沼紫乃さんは、人気アニメ「美少女戦士セーラームーン」大阪なる「ドラゴンボール改」ビーデルパン「クッキングパパ」芹沢マリ、さらにゲームやテレビのナレーションなどで幅広く活躍し続けている。

古川登志夫さん 写真:小林 恵里

本作の感想について、古川さんは、「ひと言で表現すると良質な映画です。結婚生活が長くなると空気のような存在になると言いますよね。会話が省略化されたり、会話があっても本当の声が聞こえなくなったり。そんな夫婦の心の機微と再生が描かれていて、心に響きました。」と夫婦のリアルな姿への共感を語る。

柿沼紫乃さん 写真:小林 恵里

柿沼さんは、「夫婦の日常がコミカルに描かれていた。とても素敵な映画でした。ラヤ役の演技も印象的で、マルガリータになった途端に彼女の顔も変わる。身体で表現する役者さんだと思いました。」と、実際に声優としても活躍している女優マリア・ベルキンの高い演技力に着目した。

劇中では、電話口でラヤが声を変えていても、ひとことで妻だと見破る夫のヴィクトル。お二人も、どんなキャラクターの声でもパートナーの声だと分かるものなのだろうか?と問われると、古川さんは、「僕は、どんな役の声でも、これは彼女の声だって分かると思いますよ。」とコメント。それに対し柿沼さんは、「古川は役によって声が千変万化するので、いきなり聞いたらどうかな、分かるかな……これは褒めているんですよ(笑)」とお茶目な笑顔。また、「『バットマン フォーエヴァー』のリドラーの吹き替えを観たときはびっくりしました。ただでさえジム・キャリーの演技は凄いのに、編集して繋ぎ合わせたあのお芝居に声をあてるって凄すぎる! って。同業者として尊敬しますし、勉強になりました。」と、古川さんの高い技術に改めて賞賛を送った。

さらには、お二人がどれほど映画好きなのかが伺い知れるエピソードも。
柿沼さんは、「初デートで観たのは『愛と追憶の日々』(1983年)、その次のデートは『スカーフェイス』(1983年)でした。懐かしい。そこから週末は一緒に映画を観るようになって。」と話した。
古川さんは、「今回の『声優夫婦の甘くない生活』も一緒に観て、その後に(本作がオマージュを捧げる)フェリーニの映画も見返しました。『8 1/2』(1963年)とか。彼の映画は長いし独特の作法で作っているので理解できないところもありますが、記憶に残る映画って、どこか一個所「ここが好き」という特別な個所がある。そのシーンを観たくて繰り返し観てしまうんですよね。」と、本作の主人公の声優夫婦と同様、映画とともに人生を歩まれてきたことを感じさせる素敵なお言葉が、我々映画ファンの胸も熱くする。

ほかにも、パンフレットには本作のお気に入りシーンや、声優だからこそ共感する“あるある”話などが収録されている。映画鑑賞のおともに、ぜひパンフレットを劇場窓口でゲットしてほしい!

『声優夫婦の甘くない生活』2020年12月18日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開。

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