手取り18万・家賃4万・奨学金返済あり。首都圏郊外一人暮らしの理想の家計と管理のコツ

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、24歳、会社員の女性。初めて一人暮らしをする予定だという相談者。生活費や保険料はどれくらいを想定するべきなのでしょうか。FPの氏家祥美氏がお答えします。

一人暮らしを始める予定です。首都圏郊外の団地に住む予定なのですが、毎月家賃以外にかかる費用としてはどれくらいを想定しておくべきでしょうか?ガス設備はあり、都市ガスとします。在宅ワークがあるため、ネット環境はなるべく良いものにしたいです。また、これを機に保険に入るよう勧められたのですが、精神疾患で通院中だと保険に入れないと聞きました。けがや病気への備えは最低限どれくらい必要でしょうか?

【相談者プロフィール】

・女性、24、会社員、未婚

・住居の形態:親の家で同居

・毎月の世帯の手取り金額:18万円

・ボーナスの有無:なし

・毎月の世帯の支出の目安:10万円

・住居費:4万円

・食費:3万円

・水道光熱費:住居費に含む

・教育費:1万円

・保険料:0円

・通信費:3,000円

・お小遣い:0円

・その他:5万円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:2万円

・ボーナスからの年間貯蓄額:0

・現在の貯蓄総額:50万円

・現在の投資総額:0円

・現在の負債総額:200万円(奨学金)


氏家:こんにちは。今回は、これから1人暮らしを始めたい20代女性から、1人暮らしにかかる費用についてご相談をいただきました。無理なく一人暮らしがスタートできるように、家計の割合や現在気になっている通信費、保険料等について一緒に考えていきましょう。

一人暮らしの固定費

一人暮らしを始めるうえで、最初に考えるのが家賃です。家賃は手取り月収の25%以内が目安になります。20代で都市部の一人暮らしだとこの予算では厳しい場合もありますが、家賃の割合が高くなるとどうしても生活が苦しくなったり、貯蓄ができなくなったりしやすいものです。

今回のご相談者さんは、団地に住むことで家賃が4万円に抑えられる予定です。手取り月収は18万円なので、住居費の割合は手取りの22%です。しかも、水道光熱費込みなので、毎月の固定費がずいぶんと抑えられる予定です。

家賃以外に想定しておきたい固定費は、在宅ワークに使うためのwi-fiです。団地住まい、固定電話無しという状況からですと、工事のいらない置くだけタイプのwi-fiが候補に挙がりそうです。その中で、通信速度や料金プランを比較して選ぶといいでしょう。予算は月額4,000円ほど見ておくことにしましょう。

ご相談者さんの場合、1カ月の固定費は以下の通り、合計で5万7,000円になります。

家賃(水度光熱費込):4万円
教育費:1万円
通信費(携帯代): 3,000円
Wifi: 4,000円
合計:5万7,000円

既往症がある人の保険の考え方

続いて、気になっている保険について考えていきましょう。20代で独身の方でも、通常はなるべく医療保険に加入しておくことをお勧めしています。病気やケガによる入院や手術のリスクは年齢やライフスタイルに関わらずあるからです。

ただし、ご相談者さんは精神疾患をお持ちとのことでした。精神疾患は医療保険や死亡保険の告知項目となっているため、加入できる保険の種類はかなり限られます。持病を持っている方でも入りやすい保険として「引受基準緩和型保険」があります。これは、告知項目を3つ程度に少なくすることで、入りやすくしている保険です。このタイプの保険でも精神疾患に関する告知項目が設けられていることがよくありますが、問われている精神疾患の種類や告知内容が保険会社ごとに異なるため、ご相談者さんもよく調べれば入れる保険が見つかる可能性があります。

ただし、現在家族を養う立場では無いことから、高い保険料を支払ってまで死亡保険を備える必要はありませんし、医療保険についても急いで備える必要はありません。保険料を支払う代わりに、毎月1万円程度を医療費目的の貯蓄として他の貯蓄とは別に蓄えておきましょう。

一人暮らしのお金の管理方法

始めて一人暮らしをする時には、お金を使うペース配分やお金の管理の仕方で戸惑うこともあるでしょう。早めに一人暮らしに慣れるため、ざっくりとした家計管理の方法をお伝えします。

書いていただいた内訳を見ると食費が3万円、その他5万円とあったので、毎月の変動費は8万円になります。その他の使い道としては、洋服代やレジャー費、通院費なども含まれます。

1カ月を5週間と考える、食費とその他をあわせた8万円を5等分すると、1週間当たりの予算は1万6,000円になります。月の初めに5つの封筒にそれぞれ1万6,000円ずつを入れ、毎週その範囲内で生活をするように心がけると、買い物のペースをつかみやすくなります。慣れるまではクレジットカード等のキャッシュレス決済をなるべく避けて、このような現金中心の生活をするとよいでしょう。

目指したい貯金額は?

毎月の手取り月収が18万円、そこから固定費5万7,000円、変動費8万円を差し引くと、残りは4万3,000円です。ただし、ご相談者さんは200万円の奨学金返済が残っていますね。仮に200万円を14年間で返済し金利が1%だとした場合、月額1万3,000円程度の返済になります。さらに、1万円を医療費のために取り分けるとすると、残り2万円が貯蓄に回せる計算になります。

今回お伝えした家計配分を理想形として、まずは一人暮らしにトライしてみましょう。ただし、1人暮らしの最初のうちは、家具や家電の購入などイレギュラーな支出もいろいろあると思われますし、ギリギリの生活がストレスとなるのも心配です。特別な支出があった月は、貯蓄が少なくなっても仕方ないと割りきることも重要です。

また、買い物をしたら必ずレシートをもらって、お金の入っていた封筒にレシートを保管しておくと、家計簿をつけなくてもあとから支出を振り返りやすくなります。

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