ネットの誹謗中傷…表現の自由も問われるなか、最善策は?

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。11月17日(火)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、IT起業家の関口舞さんが“ネットの誹謗中傷対策”について述べました。

◆ネットの誹謗中傷、情報開示に大きな進展

総務省の有識者会議で、ネット上で誹謗中傷した人を被害者が訴訟をしなくても裁判所が事業者側に投稿者の情報を開示させる手続きを導入する提案書をまとめました。総務省は近く意見を公募し、制度を具体化させて来年の法改正を目指していますが、一方で表現の自由を脅かしかねないとの懸念もあります。

現状ではネット上の誹謗中傷に対し、削除依頼や賠償請求を行う場合には投稿者情報の開示が必要で、そのためには訴訟が必要でした。しかも、その際には自ら弁護士に依頼をし、お金や時間を費やすだけでなく、当該問題に何度も向き合う上での心理的ダメージも大きく、「泣き寝入りしやすかった」と関口さん。

しかし今回、裁判所が新たな情報開示の施策を検討するとともに、投稿データの保全命令も出せるようになるそうで、「今までより被害者の方々の対応がスムーズになるのではないか」と関口さんは期待を寄せます。

ネットの誹謗中傷対策は日本以上に世界は先進的で、ドイツのSNS対策法ではSNS事業者は明らかに違法な書き込みは24時間以内に削除もしくはアクセス制限が求められ、違法とは言えない場合も7日以内に違法性を判断し対処が必須。さらには不適切対応への罰金は、最大で60億円となっています。ただ、日本と同じくやはり表現の自由が問題になっていると関口さん。

例えば、アメリカではBlack Lives Matter以降、黒人経営者の飲食店などへのレビュー件数が格段に増加。そのなかにはいわれのない誹謗中傷が多く、事業者側は人種差別に対しての警告や監視の取り組みを強化することを発表しています。関口さん曰く、海外で規制が強化される背景には、日本以上に人権問題に敏感だったり、テロなどに直結しやすかったり、国家を揺るがしかねない事態になる可能性もあるからだとか。

◆誹謗中傷の解決策…被害が発生する前に対策を

関口さんは誹謗中傷対策について、「加害者になる、被害者が発生する前に対策できるのが一番」と声を大にして主張。そして、そのための施策の一例として、侮辱コメントを投稿しようとすると警告がポップアップで表示されるいじめ防止アプリ「ReThink」を紹介。リリース時の実験では、93%の人が書き込みを取りやめたというデータも。

しかし、なかには本当に悪意を持って誹謗中傷をする人、相手が傷つくことを承知で投稿する人もいます。そこで関口さんは、「彼らも裁判や賠償金を払うつもりで書いているわけではないと思うので、心情に訴えるだけでなく、AIで投稿を判定し、悪質な投稿には過去の裁判事例や結果をポップアップで出し、SNS側が投稿前の確認を促す(機能)などを導入してはどうか」と提案。事業者やメーカー側が対策を推進するのが一番良いと改めて強調し、「SNS利用者のためにも、ぜひ検討していただきたい」と望んでいました。

国際ジャーナリストの高橋浩祐さんは、「特に匿名での誹謗中傷はダメ」と言います。とりわけ日本では匿名投稿が一際多いこともあり、「発言者に責任を負わせないと」と指摘。キャスターの宮瀬茉祐子も「(ネット上での発言に対し)責任感をしっかりと考えた上で行動するという習慣がついていないのかもしれない」と話していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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