金型製造KTXが平戸進出へ 開設5年で50人雇用 来年2月

 自動車などの機械部品金型製造を手掛けるKTX(愛知県江南市)は、長崎県平戸市田平町の市工業団地に新事業所「長崎ラボラトリーズ」(仮称)を整備する。県と同市が16日、発表した。自動車関連部品のほか、新たに進出する人工関節の開発・製造事業の拠点とする。開設後の5年間で50人を地元から雇用する方針。
 愛知県内の3カ所に続き、国内4カ所目の事業拠点となる。同社は九州北部の自動車関連企業と取引が多く、現在は愛知県から陸送で納品。同市は九州の取引先企業、海外拠点と近く、西九州自動車道の整備でアクセス改善が期待され、物流コスト縮減が見込まれるとしている。
 同社と同市によると、工業団地の全敷地約2万平方メートルの土地を今後取得。周辺に民家がなく、今後の規模拡大を進めやすい環境も進出決定の要因という。来年2月に県と同市、同社が立地協定を締結する。
 同市は県産業振興財団と連携し、企業誘致活動を強化。固定資産税減免、土地や機械への投資に対する補助などの優遇措置制度も整えてきた。県外企業の同市進出は2000年以降3例目で、製造業は初。
 1965年創業の同社は電気鋳造分野で業界トップクラスの技術を誇り、海外では韓国、中国、タイ、米国に生産拠点がある。2020年4月期の売上高は39億7600万円。
 同市の黒田成彦市長は「平戸にとって長年の懸案だった企業誘致が実現した。(県産業振興)財団の尽力が大きい」と話した。

© 株式会社長崎新聞社