3Dで工事システム改革  三桜電設(延岡)オンライン展に出展

3Dスキャナーデータに、3DのCADで設計したデータを融合させた画像。詳細なデータにより、工期短縮や省力化などが期待できる(三桜電設提供)

 発電所や変配電所、プラントの設備設計、建設、保守などを手掛ける三桜電設(延岡市、大野篤則社長)は、先進の3D技術を活用した工事システム改革を進めている。従来工法より生産性が高く、安全、品質、コスト削減の面でも優れた次世代システム。18日までオンラインで開催中の「新価値創造展2020」(中小企業基盤整備機構主催)に出展しており、全国からも高い関心が寄せられている。

 同社の3D技術は、高精細な3Dスキャナー計測により工事現場となる空間を丸ごとパソコン上に再現。計測データは「写真点群座標」として表現され、計測が難しい高所や立ち入り困難な場所のデータが1回の調査・計測で得られる。計測値の誤差は非常に小さく、設計、施工現場での使用に許容できるという。

 さらに、その点群座標データの中に直接、3Dのコンピューター利用設計システム(CAD)でモデリング設計していく作図手法を採用。例えば、3Dスキャナーでパソコンに取り込んだプラントや変電所といった空間データに、新しい機械や電線を配置した状況が一目瞭然となる。部品についても、どんなサイズのものがどのくらい必要か―などの情報が把握でき、工期の短縮や現場での省力化に効果を発揮する。

 作図の単純作業はオペレーターに任せることができるため、設計士でなければならない作業と分業も可能。働き方改革や人材育成につながることも期待されている。

 現在、国土交通省主導のもと、BIM、CIMによる工事システム改革が強く推し進められており、同社の甲斐雄二常務は「地方の建設業、土木業の現場においても、私たちの3D技術は活用できる。工事システム改革へ情報を共有していきたい」と話している。

 開催中の新価値創造展2020は、全国の中小企業から優れた製品や技術などを募り、発信することでビジネスマッチングや新しいアイデアを生み出すことを目的に開催。約320社の出展者のうち、三桜電設は閲覧数でトップとなっている。同展ホームページにアクセスし、来場者登録をすると閲覧できる。18日午後5時まで。

 BIMはビルディング・インフォメーション・モデリングの略語で、建設業の分野で3次元のモデリングソフトウエアを使用して建物設計や建設の生産性を向上させる取り組み。CIMはコンストラクション・インフォメーション・モデリングの略語で、BIMの概念を土木工事において活用する。

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