ニグロリーグがメジャーリーグ公式記録に認定 様々な問題も

メジャーリーグ機構は日本時間12月17日、1920年から1948年までのあいだに運営されていたニグロリーグの7つのリーグについて、メジャーリーグの地位を与えることを決定した。これにより同期間にニグロリーグでプレーしていた約3400人の選手が新たにメジャーリーガーとなり、メジャーリーグの歴史に追加される。ニグロリーグはメジャーリーグに匹敵するレベルだったと言われているが、各種の記録や選手の個人成績の統合については様々な問題があるようだ。

今回メジャーリーグの地位を与えられるのは以下の7つのリーグである。

ニグロ・ナショナル・リーグ(1期:1920~31年)
イースタン・カラード・リーグ(1923~28年)
アメリカン・ニグロ・リーグ(1929年)
イースト・ウエスト・リーグ(1932年)
ニグロ・サザン・リーグ(1932年)
ニグロ・ナショナル・リーグ(2期:1933~48年)
ニグロ・アメリカン・リーグ(1937~48年)

これらのリーグは合計35人の殿堂入り選手を輩出しており、ジョシュ・ギブソン、オスカー・チャールストン、クール・パパ・ベルといった伝説的な選手たちがメジャーリーガーの地位を得ることになる。ただし、ニグロリーグの記録をそのままメジャーリーグの記録と統合すると、歴代のシーズン記録や通算記録にも大きな影響を与える可能性があり、メジャーリーグ機構はエリアス・スポーツ・ビューロー社(メジャーリーグの公式記録を提供する企業)とともに、ニグロリーグの記録の取り扱いについて検討するプロセスを開始した。

たとえば、ギブソンには「通算800本以上のホームランを放った」という伝説があるが、ニグロリーグの記録を扱う「Seamheads」によると、公式記録として認められているのは238本(ニグロリーグ最多)。これはアール・アベリル、レイ・ランクフォード、J・D・マルティネスと並ぶ歴代264位タイに相当する。また、1920~48年の最多勝利はウィリー・フォスターによる150勝だが、これはディジー・ディーン、リック・ポーセロ、デービッド・プライスらと並んで歴代257位タイとなる。

最大の問題は打率や長打率といった「率系スタッツ」の扱いだ。3000打席以上の打者のうち、ギブソンは通算打率.365、ジャッド・ウィルソンは.359、チャールストンは.350、ターキー・スターンズは.348をマークしており、テッド・ウィリアムス(.344)やベーブ・ルース(.342)を上回って歴代トップ10にランクインすることになってしまう。ギブソンに至ってはロジャース・ホーンスビー(.358)すらも上回り、タイ・カッブ(.367)に次ぐ歴代2位の数字となる。この扱いが本当に適切なのかどうか、今後議論されることになるだろう。

もちろん、エキシビションゲームなどの記録は含まれないため、ギブソンの通算本塁打数がバリー・ボンズ(762本)を上回ることはない。通算755本塁打のハンク・アーロンもニグロリーグでプレーして本塁打を放っているが、アーロンがニグロリーグでプレーしたのは1952年のため、アーロンの通算本塁打数が増加することはない。一方、ウィリー・メイズは1948年にニグロリーグでプレーしているため、通算の打撃成績が変更される見込みだ。

ニグロリーグの記録が最終的にどのように扱われるかはまだ不透明だが、今回の決定によって各種の記録に大きな影響があることだけは間違いなさそうだ。

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