敬愛するフェリーニ監督作「ボイス・オブ・ムーン」を見つめる熱いまなざし 「声優夫婦の甘くない生活」本編映像公開

スター声優夫婦の第2の人生をユーモラスに描いたイスラエル映画「声優夫婦の甘くない生活」(12月18日公開)から、本編映像が公開された。あわせて、13名の映画館・劇場関係者からの鑑賞コメントも公開された。

公開された本編映像は、主人公のヴィクトルがロシア系移民のための映画として選んだ、敬愛するフェデリコ・フェリーニ監督の「ボイス・オブ・ムーン」が上映されるシーン。映写機のリールが回され上映がスタート。暗闇に浮かび上がるスクリーンの中で、「美しく青きドナウ」の優雅な調べに乗せて踊る登場人物たちが映し出される。「ホーム・アローン」路線の上映を考えていた館主から客が少ないことに嫌味を言われていたヴィクトルも、熱を込めたまなざしでスクリーンを見つめる。ヴィクトルのフェリーニや映画への思いが伝わってくる映像となっている。

本編映像にあわせて、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺、立川シネマシティ、横浜ブルク13、あつぎのえいがかんkiki、千葉劇場、伏見ミリオン座、シネ・リーブル梅田、MOVIX京都、シネ・リーブル神戸、サロンシネマ、シアターキノの映画館・劇場関係者から、映画愛を描いた本作についての鑑賞コメントが公開された。映画館に携わる方たちならではのコメントとなっている。

「声優夫婦の甘くない生活」は、ソ連からイスラエルに移民して第2の人生をスタートさせたヴィクトルとラヤの吹き替え声優夫婦が、声優の仕事にありつけず、闇仕事にたどり着く。そして、妻の秘密が発覚したことをきっかけに、長年気付かないふりをしてきたお互いの「本当の声」が噴出し始める・・・という内容の作品。監督自身の経験をもとに、7年の歳月をかけて作り上げられ、ヨーロッパの映画祭を中心に高い評価を得た。声優夫婦の歴史を形作ってきた名作の数々、生誕100周年を迎える巨匠フェデリコ・フェリーニ、ハリウッドの往年の名作へのオマージュが作品を彩っている。

■ヒューマントラストシネマ有楽町 支配人 長島 理恵子
“熟年夫婦あるある”の本音合戦の末、
もう一度2人が向き合う場所は映画館!(まさかのフェリーニ上映中)
2人が声だけで綴るロングショット・シーンは優しくて切なくて泣けてくる。
色々あって尚人生は素敵だよ、と言われた気がします。

<一番大切な映画> 「男と女(1966年版)」

■新宿武蔵野館 番組編成担当 西島 新
ただ夫婦として長年一緒に連れ添うだけでも想像がつかないのに、
同じ業種の仕事もしながらだなんて…いや逆にだからなのか…?

映画は人生を豊かにする 声優はその出会いの案内人だ。
出会いの場、案内先としての劇場にて、 ご来館を心よりお待ちしております。

<一番大切な映画>
一番大切というか分かりませんが、恐らく回数的に一番多く観たのが「ゴースト ニューヨークの幻」ではと存じます。
スクリーンで観たことはないのですが、母が好きで、テレビで放映された際や、それを録画したものを幼少期に何度も一緒に観た記憶があります。
幼い少年には、しかも母と一緒に観ていたこともあり(笑)、あれ位の内容でも結構こっ恥ずかしかった思い出が…(笑)
「アンチェインド・メロディ」もふと気付くと歌えるようになっておりました(笑)

■アップリンク吉祥寺 番組編成担当 石井 雅之
羨ましい。
あの声優夫婦にとってのフェリーニのように特別な作品と 私も出会いたい。
映画は夢見る装置だ。その日そこでしか得られない出会いがある。
だから今日も映画館に出向き、目の前に映し出される映画に身を委ねる。

<一番大切な映画>「ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR」

■立川シネマシティ 番組編成担当 椿原 敦一郎
新天地を求めてきた夫婦が、思うように事が運ばないことをきっかけに、
夫婦であり続けるビジョンが揺らいでゆくこの物語のはじまりは、
映画との出会いにおける相性や、アタリ外れの歓びや愉しみと重なるところがあります。
あなたが映画に求めるものは何でしょう? 甘くないですよ、この映画。。。

<一番大切な映画>「ダンス・ウィズ・ウルブス」

■横浜ブルク13 支配人 辛島 俊二
相手を思いやる気持ちは長く一緒に過ごすと当たり前になってしまいがちだけれど、
長く過ごしているからこそ大切に思える気持ちもあると思います。 年齢を重ねていく残酷さと温かさを感じました。

<一番大切な映画>「ファイトクラブ」

■あつぎのえいがかんkiki 支配人 青松 俊哉
フェリーニは「甘い生活」。本作は「甘くない生活」。
絶妙なユーモアと往年の名作へのオマージュで、まんまとほっこりさせられました。
子は鎹と申しますが、この老夫婦には映画が鎹かと。
私も「映画館は映画との出会いの案内人です」と言えるよう精進いたします(笑)

<一番大切な映画>「牛乳屋フランキー」

■千葉劇場 支配人 鴫原 光希
新天地で新たな人生を始めた“変わりたい妻”と“変われない夫”。
新しい時代を必死に生きる日常生活の中にクスっと笑いを入れた、
まさに『ビタースイートな喜劇』という表現がぴったりな1本です。

<一番大切な映画>「きみに読む物語」
はじめてデートで観た洋画で、自分もそういう男性でありたいと思った、あの終わり方が忘れられません。

■伏見ミリオン座 支配人 渡邉三恵
長年連れ添った二人だからわかること、それでもわからないこと。
夫婦とは難しい。
でも互いの奥底に深い愛情を感じるのは、やはり二人が積み重ねてきた時間なのだと胸に沁みる。
大切な人と一緒に観たい心温まる作品。

<一番大切な映画>「レオン」

■シネ・リーブル梅田 支配人 山本沙有里
いじけがちな思考を開放したら 甘くなかったものが甘くなったり 人の在り方はいつだって普遍的ですね。
私も愛すべき映画に力を借りつついじけずに生きていこうと。そんな気にさせてくれる映画愛に溢れた素敵な作品です。

<一番大切な映画>「ル・アーヴルの靴磨き」

■MOVIX京都 支配人 富岡 秀幸
1990年に イスラエルへ移民した旧ソ連の老夫婦の話?なんだそれ??
観てみた。ちょっと悲惨なのに、笑えた。男や女、仕事、映画のお話し。
観終わった後・・・自分自身の話だと思った。

<一番大切な映画>「プラトーン」

■シネ・リーブル神戸 支配人 多田 祥太郎
映画の吹替という仕事からすれ違う事になってしまった二人が、
また映画をきっかけにお互いを許しあう。どこよりも映画館が似合う映画です。

<一番大切な映画>「真夜中のカーボーイ」

■サロンシネマ 銀幕部長 戸川 喜史
映画製作そのものには携わっていなくても、それぞれの国の言葉に心を込めて吹替える声優業は、それぞれの地域で上映する映画館業と同じく、映画をお客様にお届けする大切な仕事です。同じく映画を愛し、映画の仕事に誇りと責任を持つ者として、遠く離れた国の声優夫婦の奮闘に胸が熱くなりました。

<一番大切な映画>「ファントム・オブ・パラダイス」

■シアターキノ 支配人 中島 ひろみ
居場所を見つけるってむつかしい。長年連れ添った夫婦が迷子になって微笑ましいほど暴走して、そんなふたりに誰かではない自分を、「自由に生きろ」と映画の神様は微笑んだ。

<一番大切な映画>アキ・カウリスマキ監督「浮き雲」
※あのスイッチは・・?気になりますね。少しヒントをくれそうな佐藤雅彦監督 の『kino』もほっこりしていておすすめです。

*敬称略・順不同

「声優夫婦の甘くない生活」
12月18日(金)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
配給:ロングライド

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