2023年にもカナダの宇宙飛行士が月周辺へ、米国とカナダが月周回有人拠点に関して合意

月周回有人拠点「ゲートウェイ」に設置された「カナダアーム3」(中央)を描いた想像図(Credit: CSA/NASA)

カナダ宇宙庁(CSA)は12月16日、アメリカ航空宇宙局(NASA)とともに有人月面探査計画「アルテミス計画」で建設される月周回有人拠点「ゲートウェイ」についての合意に達し、「ゲートウェイ条約(Gateway Treaty)」に署名したことを発表しました。CSAはこの合意の下でカナダの宇宙飛行士がNASAのアルテミス計画に2回参加する機会があるとしています。

有人探査における中継基地として機能するゲートウェイにおいて、カナダは2026年に輸送される予定の次世代ロボットアーム「カナダアーム3」を担当します。カナダアーム3は国際宇宙ステーションで用いられている「カナダアーム2」の後継モデルで、オペレーターや宇宙飛行士による操作だけでなく自律的な動作も可能。ゲートウェイの組み立てや保守、到着した宇宙船の把持、船外活動を行う宇宙飛行士の補助といった目的で使用されます。

CSAやNASAによると、今回の合意に含まれているカナダ人宇宙飛行士の2回の参加機会のうち、1つは2023年の実施が計画されている「アルテミス2」ミッション、もう1つはゲートウェイへの飛行とされています。アルテミス2は開発中の新型宇宙船「オリオン」の有人飛行試験にあたるミッションで、月面着陸は実施されないものの、4名の宇宙飛行士を乗せたオリオン宇宙船は月の裏側を回って地球へと帰還します。

先日NASAはアルテミス計画で有人月面探査に臨む宇宙飛行士18名の「アルテミスチーム」を発表した際に、協力国の宇宙飛行士を含む追加のメンバーが加わる可能性にも言及していました。これまで月周辺を飛行したことがあるのはアポロ計画におけるアメリカの宇宙飛行士のみであり、CSAは発表において、カナダが宇宙飛行士を深宇宙および月周辺に送り込む2番目の国になるとしています。

なお、日米は2020年7月に月探査協力に関する文部科学省と米航空宇宙局の共同宣言「JEDI」(Joint Exploration Declaration of Intent)に署名しており、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙飛行士がアルテミス計画にいつ参加するのかも気になるところです。JAXAは有人月面探査への参加も見据えた宇宙飛行士の募集2021年秋頃に予定しており、アルテミス計画には新たに選抜された宇宙飛行士が参加することになるかもしれません。

月周回有人拠点「ゲートウェイ」を描いた想像図(Credit: NASA)

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Image Credit: CSA/NASA
Source: CSA / NASA
文/松村武宏

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