「大和魂」を東京五輪のピッチで サッカー男子のU―23代表主将、中山雄太 アスリートは語る(4)

 サッカー男子の東京五輪世代に当たるU―23(23歳以下)日本代表で主将を務める中山雄太(ズウォレ)がオランダからオンライン取材に応じた。新型コロナウイルス禍で抱いた思いと、主将として取った行動。さらに来年に延期された五輪への青写真は―。(共同通信=石井大輔)

コートジボワール戦で競り合う中山(右)=10月、ユトレヒト(ゲッティ=共同)

 ▽開催を信じて

(コロナ禍の収束は見通せず、東京五輪の中止論さえ渦巻いている。だが年齢制限のあるサッカー男子の選手たちは、この大会が一生に一度のチャンスと照準を合わせてきた)

 ―選手として率直な思いは。

 ウイルスの脅威は僕が生活しているオランダでも収まっていません。その不安がある状況で新シーズンが開幕しました。コロナの危険性や不安感はものすごく理解できる。それでも、東京五輪が開催されると信じて日々を送るだけだと思います。

 ―サッカー界では観客数を制限して試合を開催している。

 無観客の試合も経験して感じるのは、少しでも多くの人に見てもらえる感謝の部分が大きい。感染状況が見通せず難しい議論だと思いますが、東京五輪でも、できれば無観客ではなくお客さんの前でプレーしたいと願っています。

オランダ1部リーグのズウォレに移籍したDF中山雄太(中央)=2019年1月、ズウォレ(共同)

 ▽ビデオメッセージ

(6月、五輪世代のメンバー78人が登場するビデオメッセージをユーチューブに公開した。コロナと闘う医療従事者への感謝や、選手としての思いを言葉に込めた)

 ―主将としてビデオ作成を呼び掛けた。

 堂安律(ビーレフェルト)と『何かやりたい』と話していたのがきっかけで、選手みんなの協力を得てやれました。みんなで考えた文章には「大和魂」という言葉が盛り込まれています。真面目に協力し合える日本人らしさを表すキーワードとして、この言葉を使いました。

 ―国内外に散らばるメンバーがオンラインで集い、話し合った。

 日本の皆さんに少しでも勇気を与えられるようにという思いでした。選手たちはみんな真剣に取り組み、本当に貴重な機会になりました。

コロンビア戦前に宣誓するサッカーU―22日本代表の中山雄太主将(手前)=2019年11月、広島市のエディオンスタジアム広島

 ▽1年は成長できる期間

 (東京五輪代表の活動は不透明になり、チームが固まるのは本番直前となりそうだ)

 ―五輪へどう準備するか。

 どちらかというと自分にフォーカスしています。1年、また成長できる期間だと思って取り組んでいます。日々、自分の成長を追い求めながらやるだけです。

 ―個人としての目標。

 コロナで中断した期間は、もっとうまくなるため、もっと上にいくためにどうすべきか毎日考えました。結論は自分のスタイルを壊し、再構築していくということ。この1年はそこにチャレンジしたい。五輪でのプレーを楽しみにしてもらえればと思います。

 ―本番では一体感をどう醸成するか。

 そこは心配していません。力を合わせ、集団行動できるのが日本の強み。五輪では、そんな「大和魂」をピッチで示したいと思います。

中山雄太

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中山 雄太(なかやま・ゆうた) 東京五輪世代に当たる97年以降生まれの年代別日本代表で主将を務めてきた。安定した守備と展開力が武器で、MFとDFをこなす。J1柏の下部組織から15年にトップチームに昇格し、17年にJリーグのベストヤングプレーヤー賞。ズウォレ(オランダ)に移籍した19年にフル代表デビュー。181センチ、76キロ。23歳。茨城県出身。

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