男女共同参画案、閣議決定へ 「夫婦別姓」文言削除でどうなる

片山さつき氏(左)、野田聖子氏(右)

 女性政策における今後5年間の指針となる男女共同参画基本計画案について、政府は来週にも閣議決定する。当初は選択的夫婦別姓の導入に前向きな表現が盛り込まれ、法改正などの検討が加速するとの期待感が高まっていたが、反対派の主張で次々修正。自民党が「選択的夫婦別姓」の文言自体を削除すると決定したため、今後の議論が停滞することも予想される。

 自民党内で、夫婦別姓の推進派は「(実家の姓が絶えることを心配し)一人っ子同士が結婚を踏みとどまるケースがある」などと訴えてきたが、「家族の絆に関わる。子どもたちへの影響を考え慎重になるべき」などと主張する反対派は反発。基本計画案にも「家族の一体感を考慮」など保守層に配慮した文言が盛り込まれた。

 今回の党内議論について、選択的夫婦別姓推進の立場を長く取ってきた自民党の野田聖子幹事長代行は神奈川新聞社の取材に、「ようやくバランスの取れた議論が始まった」と歓迎した上で、「名字で家族の絆をつなげる考えは否定しない。ただ夫婦別姓が選べず結婚できない人たちへのアプローチも、先進国家として必要だ」と強調する。

 今回の議論で、導入に慎重な立場を取った片山さつき元地方創生担当相は「戸籍を安易に壊したり、中途半端な変更を加える理由が全く分からない」と疑問視し、「旧姓併記している公的な身分証明書のデジタル化が進めば、夫婦別姓が選べないことによる不便は解消される」との見方を提示する。

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