地元から反響が出始めた2020年。旭川で愛されるローカルメディア「モトクラシー」 【後編】

コロナ禍のなかで観光客がいなくなり大打撃を受けた2020年。

「”観光客目線”で始めたものでしたが2年経った今、観光客より地元の方のほうが見てくれています。
特に2020年はコロナ禍のなかで観光客がいなくなり”果たして印刷した1万部が無くなるのか”と不安にもなりました。しかし地元の人が利用してくれ、地域の魅力を感じてくれていることがわかり、反響が出始めた年となりました。」

こだわりを持ち2015年から大切に作りあげてきたモトクラシーは、コロナ禍のなかで観光客がいなくなり大打撃を受けた2020年、日本地域情報コンテンツ大賞にて「大賞」を受賞。

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大賞受賞とモトクラシーで得られたもの

林和寛さん

「”果たして印刷した1万部は無くなるのか”と不安になりました。
しかしそんな時、バックナンバーを取りに来てくれる方がいたり、モトクラシーへの掲載のお問い合わせがあったりと、地元でさまざまな反応をいただけたことで、地元の人が利用してくれて地域の魅力を感じてくれているのだとわかった年でもありました。
そんなタイミングでの受賞だったので、本当に嬉しかったです。そしてとにかく、8割9割やってくれている部下2人の励みになればと思って応募したので、大賞までもらえたことが本当に嬉しく、未だに驚きです。」

小川茉奈恵さん

「これまでWebの制作・更新にも力を入れてやってきたので、Webとフリーペーパーを合わせて見ていただけたことが大変嬉しかったし驚きでした。
この仕事を始めるまで旭川のことを何も知らなかったのですが、フリーペーパーを作り始めてからいろんなお店さんと出会って、いろんな人たちと出会えたことで私自身の暮らしが豊かになったので、モトクラシーがあることでそんな人が増えてくれたらいいなと思っています。

モトクラシーを作るようになってから感じる大きな変化は、インドア派の私が休みの日に外に出ることが増えて休日が充実したことです。
友達と会う時でも1人の時間でも、モトクラシーで繋がったお店さんに出かけたり。私たちのことを知ってくれているので”おまけでこれあげるよ”なんて言ってもらえることも……(笑)」

河野桃さん

「私は入社してから1年半と短い期間だったので、受賞の感想としては2人に対して「本当に良かったね」という気持ちが大きかったです。嬉しいのはもちろんあるんですけども、これまで林と小川が失敗してばかりだったという話を聞いていたので、ようやっと世間から認められたことに対してやっぱり良かったねというのが私の中では大きいかなと思います。」

河野さんが入社した2019年4月からの1年間、仕事で関わった人の数はなんと400人を超えていたんだそう。
決して浅くない繋がりを、そんなにも多くの方々と持っていることからも、地域との深い繋がりを感じます。

地元の人が地元を体験するハードルを下げる | 新しい取り組み「モトクラシーギフト」

モトクラシーギフト画像をクリックすると購入ページを閲覧できます。

モトクラシーはこれまで、地域外への発信だけでなく、”内側の人が普段使いしてくれる観光資源をいかに磨き上げていくか”を考えてきました。

「地元の人が”これは良い!これはおもしろい!”と感じるおすすめの場所やひと、体験は地域外の人にも響きますし、地元の人が食べていないものや体験してないようなことをどんなに外に発信しても説得力が弱いんです。」

でも家族でラフティングなどの体験をするにはどうしてもお金がかかるため、これまで習慣がなかった人にはハードルが高い。

「一度体験すれば楽しいと思ってもらえる確信はあるので、いかに1度目へのハードルを下げ、きっかけを作って体験してもらうかということを考えていました。」 そこでできたのが『地元を贈ろう』がコンセプトの”モトクラシーギフト”です。

モトクラシーギフトでは、飲食店や体験、クラフトなど、なんと51ものプランから選択することが可能です。
クラフトなどのものでも自宅に届くのではなく、お客さんがお店の方から直接受け取るよう作られています。

「お客さんとお店の方に直接繋がってもらうことで、自分の暮らしをより豊かにしてもらいたいという思いから、お店にもそんな風にお願いしました。
そうしたらある地元のお店の方から、”ものだけじゃつまらないから、現場見学もセットにしよう”と提案していただいたんです。おかげさまで値段が付いてないことまで体験してもらえるプランもできました。」

地元の方々の「顔」が見える仕事をし、信頼関係を築いてきたモトクラシーにしか作ることができないカタログギフトが、この「モトクラシーギフト」なのです。

モトクラシーギフトの一例

「モトクラシーギフト」に込められた地域に対する思い

モトクラシーギフトは地域に対する強い思いをもって作られました。

ひとつは、一度読んでおしまいではなく、その後も地域情報誌として使えるように考えて作られていること。

「”旭川には何もない”と地元の人が言ってしまうことに対して強く問題意識を感じているので、”少なくともこれがありますよ!”と言えるようにしたいという思いも込めて作りました。」

モトクラシーギフトには、旭川周辺の地域を自分たちの足で回ってきた3人にしか作れない51ものプランが掲載されています。
これを読めば、そして体験すれば、”旭川には何もない”なんて言葉は頭の片隅にも浮かんでこなくなることまちがいなし。

もうひとつは、地域の魅力を伝える時に価値を割り引かずにそのまま伝えること。

「フリーペーパーを作るときも、クーポンつけたほうがいいんじゃない?と言われたこともありました。でも割引とかではなく、お店の純粋な情報だけで伝えたかったんです。モトクラシーギフトも、決してお得ではなく1万円のものは1万円のものとして販売しています。この時期だからこそより強く言いたいと思いました。」

そしてその価値を地域内で循環させることにもこだわっているのだそう。
「他の地域に外注していないので、すべてのお金が地域の中で回ります。この1万円の価値が、僕らの地域から1円も出ないのです。今回1000部の在庫があるので、全部で1000万円の経済効果なんです。東京や札幌のクオリティ・発信力には到底及ばないけれど、ローカルはローカルの気概と自負を強く持って作っています。」

割引するという方法ではなく、価値を正当に伝えることによって人を呼び込む。 強いポリシーと地域への愛を持って作られたモトクラシーギフト、誰かにプレゼントしてみたくなりました。

まとめ

自分たちの地域を、自分たちの言葉で、嘘をつかずに伝える。
その姿勢がモトクラシーの中で紹介される”ひと”の、そしてモトクラシーを作る3名のファンを生み出し、それが地域に波及しているのだと強く感じました。
コロナ禍がすぎたら、ぜひ旭川に出かけてモトクラシーの掲載店で手に入れてみてくださいね。

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モトクラシー

モトクラシーは、北海道のほぼ中心、旭川駅から日帰りで行けるエリアの主にツーリズムに関する情報を紹介しているローカルメディアです。

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