待ち続けた日々もついに終わる。ポール・マッカートニーの待ちに待った新作、ポール一人で作ったアルバム『マッカートニーIII』が全曲ストリーミング、CD、そしてカラフルなヴィニール盤として、本日12月18日に発売された。
2018年にチャートの1位を記録した『エジプト・ステーション』以来、初めての作品となる『マッカートニーIII』は、1970年の『マッカートニー』、80年の『マッカートニーII』の伝統に則り、余分なものを取り去ったシンプルな作品で、彼がプロデュースも含めて文字通り一人で仕上げたアルバムだ。
今年の前半の“Rockdown”[訳注:封鎖という意味のLockdownを、音楽のRockと掛けて、ロックが出来ないという意味で使っている]の時期にサセックス州でレコーディングされた『マッカートニーIII』は、主にポールがギター、もしくはピアノを弾きながら生で歌ったものを収録して、そのベーシック・トラックの上にベースやドラムを後からダビングしている。
このプロセスは、ポールが最初に90年代初めに作った曲「ホエン・ウィンター・カムズ」(ジョージ・マーティンとレコーディングした曲)に手つけたときに閃いた方法だった。ポールはこの曲に新たな旋律をつけ、「ロング・テイルド・ウィンター・バード」としてアルバムのオープニングに持ってきた。そして「ホエン・ウィンター・カムズ」の方は2020年ヴァージョンの「ウィンター・バード」というイントロをつけて、ニュー・アルバムのフィナーレに据えた。
そんな『マッカートニーIII』のクリエイティヴなプロセスを最も深く知ることのできる新たな作品が今週「ファインド・マイ・ウェイ」のビデオという形で浮上した。ローマン・コッポラが監督したこのビデオでは46台以上のカメラを駆使し、ポールが様々な楽器を演奏している様子があらゆる角度から捉えていて、『マッカートニーIII』の創作、演奏風景を直接垣間見ることのできる、今までにない試みとなっている。
Youtube:Paul McCartney: Find My Way (Official Video)
1970年にポールのソロ・デビューアルバムとして発売された名盤『ポール・マッカートニー』では、直前に起こった音楽業界最大のバンドの解散を踏まえてポールの基本に戻った姿勢が明らかになった。そして80年の前衛的な名作『マッカートニーII』では、ウイングスの残骸の中から蘇った姿を見ることができた。『マッカートニーIII』で、ポールは再び一人に戻り、この予期しない状況を、時代に翻弄されることのないアーティストの長い歴史の中のユニークな一面という形の個人的なスナップショットに変容させている。
■商品情報
ポール・マッカートニー
『マッカートニーIII』
2020年12月18日発売
<追加情報>
『マッカートニーIII』についてのさらなる情報は、独占的にメイキング映像やコメンタリーが見られるSpotifyの『マッカートニーIII 』アルバム特設チャンネルへ:Paul McCartney: Spotify Enhanced Album
12都市のアマゾン・ミュージックのウォールでは、アルバムのシート・ミュージック(楽譜)や、世界のミュージシャンたちの感想や解釈などをフィーチャーしている:Paul McCartney: 12 Days of Paul
日本時間12月22日火曜日午前2時から、ポールはアップル・ミュージックのゼーン・ロウのゲストとして、『マッカートニーIII』について詳しいトークを展開する予定。