WRC:トヨタ、2021年参戦体制発表。ヤリ-マティ・ラトバラが新チーム代表に就任

 TOYOTA GAZOO Racing WRTは12月18日、WRC世界ラリー選手権2021年シーズンに向けた参戦体制を発表した。そのなかで2020年シーズンを戦った3名のドライバーの継続起用と、ヤリ-マティ・ラトバラの新チーム代表就任がアナウンスされている。

 トヨタ・ヤリスWRCで、ラリー競技の最高峰シリーズであるWRCを戦うトヨタ。2021年は3年連続となるドライバーズタイトル獲得とともに、過去2年ライバルの後塵を拝しているマニュファクチャラーズ選手権でのタイトル奪還を目指して戦うチームは3人のレギュラードライバーを継続起用することを発表した。
 
 ひとりめは今月行われた最終戦ラリー・モンツァで今季2勝目を挙げ、自身7度目となるワールドチャンピオンを逆転でもぎ取ったセバスチャン・オジエだ。
 
 このベテランラリードライバーは当初、2020年シーズン限りでの引退を表明していたが、新型コロナの影響で2020年シーズンが特殊なものになったことからキャリアの延長を希望。その要望にトヨタが応え、追加の1年契約が実現している。

 そんなオジエと最終戦までタイトルを争い、選手権2位となったエルフィン・エバンスが2台目のヤリスWRCに乗り込む。また、成長著しい若手のカッレ・ロバンペラが3台目のクルーとなり、トヨタは今季と同じ布陣で2021年シーズンを戦っていくことになった。

 一方、この実力派ドライバーたちとチームスタッフを束ねる代表職には、2019年までトヨタのワークスドライバーとして活躍したラトバラが、21年1月からトヨタのモータースポーツアドバイザーに就任するトミ・マキネンの後任として選ばれている。

ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC) 2019WRC第10戦ドイツ

 WRC通算18勝、史上最多出場の記録を持つラトバラは、トヨタのWRC復帰初年度のドライバーを務め、その初陣となったモンテカルロで2位表彰台を獲得すると続くスウェーデンを制し、チームとトヨタ・ヤリスWRCに初優勝をもたらすなど、トヨタのサクセスストーリーの一部を担ってきた。

 また、自分でメンテナンスしたトヨタのヒストリックラリーカーでラリーに出場するほど人一倍強い情熱を持った人物であることでも知られ、2020年に世界中でTOYOTA GAZOO Racingのアンバサダーを務めてきた。

 今回、マキネンの後を継ぎチーム代表に就任することが発表されたラトバラはプロジェクトディレクターの春名雄一郎、スポーティングディレクターのカイ・リンドストローム、テクニカルディレクターのトム・フォウラーらとともにTOYOTA GAZOO Racing WRTを率いていくことになる。なお、代表就任以降もTGRアンバサダーの任は継続されることが合わせてアナウンスされている。

■ラトバラ「章男さんとトミが一緒になってやってきたこの仕事を、引き継ぐことができるのは大きな喜び」

「豊田章男さんが私を信頼し、チーム代表に任命してくれたことを本当に光栄に思う。ドライバーとして初期からこのチームの一員だったので、章男さんとトミが一緒になってやってきたこの仕事を、引き継ぐことができるのは大きな喜びだ」と語ったラトバラ。

「チーム代表として、今後は大きなビジョンで物事を見ていく必要がある。チームの全員が協力して最高の結果を出せるように、モチベーションを高めていかなければならない」

 新しい役職にやりがいを感じるというラトバラは、チームにまだ改善できる点があるという。

「自分にとっては新たな挑戦だが、とてもやり甲斐を感じている」

「チームをゼロから築き上げ成功に導くなど、トミは素晴らしい仕事をしてきた。それでも、さらに改善する余地はありますし、ドライバーとして長年学んできたことを活かし、チームの各ディレクターと協力しながらこのチームにできるだけ多くの成功をもたらしたいと思っている」

「2021年のシーズンはもうすぐ始まるが、チームにはすでに実績のあるマシンと強力なドライバーが揃っているし、1月のラリー・モンテカルロに向けて何をすべきか、誰もが理解している」

 豊田章男TGRチームオーナーは、新チーム代表に任命したラトバラに対し「マネージャーとしての君の力は未知数です。私も、君にどんな可能性があるかは、分かりません」としつつ、「君は絶対にチームの強さに結び付け、強いチームを作ってくれると信じています。新しいTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamを頼みます。一緒にヤリスの屋根に乗る日を楽しみにしています」とメッセージを寄せている。

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