いながきの駄菓子屋探訪25埼玉県本庄市「ボードゲーム駄菓子屋サンタさん」先月開店!会社員が二足のわらじで運営する店

全国約250軒の駄菓子屋を旅した「駄菓子屋いながき」店主・宮永篤史が、「昔ながらの駄菓子屋を未来に残したい」という思いで、これまで息子とともに訪れた駄菓子屋を紹介します。今回は埼玉県本庄市の「ボードゲーム駄菓子屋サンタさん」です。

2020年11月オープンなのに絶妙なレトロ感

数多くの昔ながらの駄菓子屋が役目を終えていく流れの中、新しく誕生する駄菓子屋もあります。埼玉県本庄市にある「ボードゲーム駄菓子屋サンタさん」。過去に群馬県で2店舗の駄菓子屋運営を行っていた店主が、2020年11月にオープンした、できたてのお店です。群馬のお店の頃から交流させていただいていたご縁もあり、開店のお祝いも兼ねて訪ねてみることにしました。

信号が少なく、高速道路のような雰囲気で平坦な田畑を貫く国道17号線・深谷バイパス。北上し続けると本線とバイパスが合流し、市街地が広がり始めます。目的のお店はその「国道沿い」という、駄菓子屋としては珍しい場所にありました。平日は夜のみの営業とのことで、訪ねたのは暗くなってから。照明に浮かび上がる年季の入ったガチャガチャや建物、手作り感のある店先は、オープンしたてには見えない絶妙なレトロ感を持っています。

店内に入ると、最初のフロアにはテーブル筐体が並んでいました。これは群馬のお店からそのまま移設し、ボードゲームで遊ぶテーブルとして使っているそうです。そしてその隣にある部屋がお店の中心部分。貸し出し用のボードゲームが壁一面に並び、テーブルとカウンター、駄菓子売り場が設置され、「遊び」で埋め尽くされた素晴らしい空間になっていました。

駄菓子を食べながらボードゲームが楽しめる

ボードゲーム駄菓子屋サンタさんは、群馬の店舗経営時にボードゲームの魅力にハマった店主が「これまでの駄菓子屋経営で培った経験と、自分の趣味を組み合わせる」というコンセプトで作ったそうです。店名は、いつもクリスマスのような特別な日であってほしいと願いを込めて名付けたとのこと。現在は会社員との二足のわらじで運営しているそうで、平日は夜のみ、土日は昼から開けるという営業スタイルになっていました。

「最初に駄菓子屋を始めたのは10年ほど前。個人経営の繁盛店を個人で引き継いだので、そこでかなりのノウハウを実体験として得ることができました。今は会社勤めと並行しているのですが、いずれは平日も子どもたちが遊びに来られる時間帯に開けられるようにしたいですね。縁日や駄菓子屋といった、にぎわいの中で人と関わっていくことが子どもの頃から好きでした。なので、自分の店に人が集まって、一緒にボードゲームや駄菓子で楽しめるのは、とても幸せなことです。長く維持していきたいですね」

縁故関係のない人から駄菓子屋を引き継いだり、駄菓子のみの販売で過不足ない生計を立てたりと、貴重な経験とアイデアをお持ちの店主。駄菓子屋が未来に残っていくためのヒントを持っている方として、個人的にとても注目しています。オープンから1カ月半ほどたち、ボードゲーム好きの大人を中心に、口コミで徐々に来店客が増えているとのこと。子どもも大人も入り混じり、駄菓子を食べつつボードゲームに興じる、そんな光景が日常的になる日もそう遠くなさそうです。

ボードゲーム駄菓子屋サンタさん

住所:埼玉県本庄市鵜森464-2

電話:080-3251-3364

営業時間:平日19:00~22:00、土日12:00~22:00

定休日:不定休(休みの日程が複雑なので必ずブログで営業日をご確認ください)

http://nanonaidagasiya.blog.jp/

[All photos by Atsushi Miyanaga]

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