木星と土星が南西の空で大接近! 約400年ぶりのイベントを見てみよう

2020年12月、木星と土星が「会合」の時期を迎えています。会合とは2つ惑星が空の同じ方向に見える現象です。木星は約12年、土星は約30年で軌道を1周するため、地球からは木星と土星が約20年ごとに会合し、木星が土星を追い抜いていくように見える様子を観測することができます。最接近するのは2020年12月22日3時頃ですが、日本から見たその時間の木星と土星はすでに水平線の下なので、その前後となる12月21日や22日の日没後が観測しやすいタイミングとされています。

天候次第ではありますが、日が沈んだ後に南西の空へ目を向けると、大接近した木星と土星の輝きを見ることができます。天体望遠鏡があれば、木星や土星だけでなくその衛星も同じ視野で輝いている様子を観測することが可能です。

2020年12月21日17時30分の東京における木星と土星の見え方を再現した図(Credit: 2020 木星・土星”超”大接近観測プロジェクト 惑星で星空視力大実験!!!実行委員会)

木星と土星が接近して見える会合は一生のうちに数回程度しか見られない現象ですが、今回は特に注目されています。なぜかというと、惑星は形や傾きがそれぞれ異なる軌道を各々の周期で公転しているため、会合の時にどこまで接近して見えるのかが毎回異なるからです。

今回の会合において木星と土星は地球から見た満月の直径の約5分の1(約6分角)まで近づきますが、前回ここまで近づいたのは397年前の1623年7月17日だといいます。ただし、1623年の会合時は地球から見た木星と土星が太陽からあまり離れておらず、赤道付近などの一部地域をのぞいて実際に観測するのは難しかったとみられており、今回と同じくらい接近した木星と土星を観測できたのはさらに60年遡った1563年8月26日だったといいます。

ガリレオ・ガリレイが木星の衛星(ガリレオ衛星)を発見したのが1610年とされていますから、人類が望遠鏡で天体を観測するようになって以来、今回ほど大接近した木星と土星の会合を望遠鏡で観測するのは初めてかもしれないのです。ちなみに、次に同じくらい木星と土星が接近するのは60年後の2080年3月。筆者には難しそうですが、いま若い人には木星と土星の大接近を一生に2回目撃するチャンスがあるかもしれません。

地球(中央)から見た天球上における木星と土星の通り道を示した図(Credit: 2020 木星・土星”超”大接近観測プロジェクト 惑星で星空視力大実験!!!実行委員会)

なお、国内外の天文台などに所属する研究者らのグループによって、今回の会合で接近した木星と土星がどのように見えたのかを調査するプロジェクト「惑星で星空視力大実験!!!」が現在実施されています。同プロジェクトによると星の見え方に個人差がある理由ははっきりしていないといい、多くの人による観測結果を通して星空観察の謎の解明に向けた手がかりを探るとされています。

同プロジェクトはWebサイト(https://www.nayoro-star.jp/mokuseidosei/jp/)において肉眼による観測レポート(眼鏡・コンタクトレンズの使用はOK)を募集しており、観測方法や報告手順、予想される見え方なども掲載しています。観測レポートの受け付けは2020年12月31日までとのことです。

Image Credit: 2020 木星・土星”超”大接近観測プロジェクト 惑星で星空視力大実験!!!実行委員会
Source: 惑星で星空視力大実験!!!〜木星・土星”超”大接近観測プロジェクト〜
文/松村武宏

© 株式会社sorae