本塁打数や勝利数だけでは測れない“貢献度” データでみる「真の助っ人」は誰?

ロッテのレオネス・マーティン(左)とDeNAのタイラー・オースティン【写真:荒川祐史】

セイバーメトリクスの指標「WAR」を用いて検証

“助っ人”と呼ばれることも多い外国人選手たち。メジャーリーグ出身など輝かしい実績を引っ提げ、今季もNPBの各球団でプレーした。そんな彼らは頼もしい存在だが、実際にはどれほどチームに貢献しているのだろうか……。野球を科学的に分析するセイバーメトリクスの視点から打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標である「WAR(Wins Above Replacement)」を用いて考えてみたい。

WARとは、「そのポジションの平均以下の代替可能選手に比べて、どれだけ勝利数を上積みしたか」を統計的に推計した指標。数値が大きいほど、勝利への貢献度が大きいとされる。今回は、セイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTAのデータを参照に検証した。

【野手】
レオネス・マーティン(ロッテ)4.0
タイラー・オースティン(DeNA)2.3
ステフェン・ロメロ(楽天)2.0
スティーブン・モヤ(オリックス)1.1
ダヤン・ビシエド(中日)1.0

野手のトップはロッテ・マーティンで、12球団全体でみても14位だった。今季はチーム最多の25本塁打、チーム2位の65打点をマーク。守備でも、強肩を生かして8補殺を記録した。上位にはソフトバンクの柳田悠岐や巨人の坂本勇人ら各球団の主力選手が並んだだけに、データでも主力級の活躍だった。

2位はDeNA・オースティン。来日1年目の今季は故障離脱が多かったものの、コンディションが整えば驚異のパワーを発揮。65試合出場ながら、ソトに続くチーム2位タイの20本塁打を放った。3位は楽天のロメロ、4位はオリックスのモヤ、5位は中日5年目のビシエドという顔ぶれに。上位5人のうち、ロメロ以外は来季の残留が決定。チームへの貢献を裏付ける去就となっている。

ソフトバンクのマット・ムーア(左)と日本ハムのドリュー・バーヘイゲン【写真:荒川祐史、石川加奈子】

来日1年目の日本ハム・バーヘイゲンは“エース級”の活躍証明

【投手】
ドリュー・バーヘイゲン(日本ハム)3.4
マット・ムーア(ソフトバンク)2.5
リバン・モイネロ(ソフトバンク)2.1
アルバート・スアレス(ヤクルト)1.8
エドウィン・エスコバー(DeNA)1.8
ヤリエル・ロドリゲス(中日)1.8

投手では、来日1年目から8勝を挙げた日本ハムのバーヘイゲンがトップとなり、12球団全体でも7位だった。上位6人はオリックス・山本や中日・大野雄、巨人・菅野ら各球団のエースが並び、データでもエース級の活躍をしたことが証明されている。

2位はソフトバンク・ムーア。今季は故障離脱もあってシーズン通した活躍はできなかったものの、13試合登板で6勝を挙げた。同じソフトバンクのモイネロが3位にランクイン。40ホールドポイントを挙げて最優秀中継ぎに輝くなど鷹のブルペンに欠かせないセットアッパーとしてフル回転した。4位はヤクルトのA・スアレスで、今季は4勝4敗ながら防御率2.67と安定感はあった。一方、阪神の守護神を担い最多セーブのタイトルに輝いた弟のロベルト・スアレスは、僅差の「1.7」で7位タイだった。

華麗なプレーや単なる数字だけでは離れない“貢献度”。2021年シーズン、助っ人たちはどんな活躍を見せてくれるのだろうか。(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』も運営する。

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