ブドウ糖含有ゼリー飲料の摂取で「実行機能」と「運動速度」スコアが改善

「薬理と治療(2020年48巻7号)」に論文が掲載されました

2020年12月21日
森永製菓株式会社

ブドウ糖含有ゼリー飲料の単回摂取で認知機能の一部である 『実行機能』と『運動速度』スコアが改善 することを確かめました 「薬理と治療(2020年48巻7号)」に論文が掲載されました

森永製菓株式会社(東京都港区芝、代表取締役社長・太田栄二郎)では、さまざまな食品及び食品素材の健康機能について研究を進めています。この度、認知機能テスト前のブドウ糖含有ゼリー飲料の単回摂取により、「実行機能*1」と「運動速度*2」という認知機能を改善する効果が認められました。本研究成果は「薬理と治療(2020年48巻7月号)」に論文掲載されました1)
*1:複数のタスク(仕事や勉強)を並行して計画的に実行するための段取りを素早く考えて実行する機能2)
*2:考えた通りに素早く手を動かしたり、短い時間で目の前の課題をクリアする機能

■研究の背景と内容
ブドウ糖は脳の活動にとって最も重要なエネルギー源であり、ブドウ糖摂取による認知機能への影響について世界中で様々な研究がなされてきました3-6)。当社でもブドウ糖の認知機能への影響について注目してきました7)が、ゼリー飲料に含有されたブドウ糖を摂取した場合にも同様の効果が得られるのかについては検証されていませんでした。
本研究では、ブドウ糖含有ゼリー飲料を認知機能テスト前に摂取することによって認知機能が改善されるかヒト試験により検証しました。

■研究方法
20~39歳の健康な男女16名を対象に、朝食を抜いた状態でブドウ糖30 gを含有するラムネ風味ゼリー飲料(ブドウ糖含有ゼリー飲料)、およびブドウ糖を抜いたラムネ風味ゼリー飲料(プラセボゼリー飲料)を日を変えて摂取してもらい、その15分後に認知機能を測定するコンピューターテストCognitraxTM *を実施しました。
途中辞退や測定トラブル等でテストを正しくできなかった4名を除いた12名の結果について、ブドウ糖含有ゼリー飲料を摂取した時にプラセボゼリー飲料を摂取した時よりも認知機能スコアが高くなるのか統計解析による比較を行いました。
*: ㈱ヘルスソリューションが提供する10種類のテストを用いて広範囲の認知機能領域をミリ秒単位で高精度に測定する認知機能検査

■研究結果・考察
認知機能テストの前にブドウ糖含有ゼリー飲料を摂取した時は、プラセボゼリー飲料を摂取した時と比較し認知機能の一部である「実行機能」と「運動速度」の標準化スコアが有意に改善されました(図)。このことから、ブドウ糖含有ゼリー飲料を摂取すると、一時的に認知機能が改善すると考えられました。

<注意>
ブドウ糖は脳における重要なエネルギー源ですが、WHOの「成人及び子どものための糖類の摂取に関するガイドライン」において肥満やう蝕の原因となる糖類の過剰摂取が勧告されています。ブドウ糖を含有した食品を摂取する際には、食生活の栄養バランスを考慮することが大切です。また,血糖値に問題のある方はご注意ください。
この結果は健康な成人における研究であり、高齢の方、認知機能に障害をもつ方などにただちにあてはめることはできないと考えています。また本研究はブトウ糖入りゼリー飲料を飲む量と認知機能の関係を検討したものではありません。

森永製菓では、今後も食品および食品素材の健康機能に関する研究に継続的に取り組んでまいりますので、ご期待ください。

【参考文献】
1)瀬戸口裕子ら.薬理と治療JPT.48(7),1219 (2020)
2)CNS Vital Signs. Brief Interpretation Guide. http://www.cnsvs.com/WhitePapers/CNSVS-BriefInterpretationGuide.pdf
3)Bernard BN et al., Nutrients. 10, E192 (2018)
4)Benton D et al., Nutr Rev. 61, S61 (2003)
5)Sünram-Lea SI et al., Proc Nutr Soc. 76, 466 (2017)
6)Smith MA et al., Neurosci Biobehav Rev. 35, 35 (2011)
7)稲垣宏之ら.薬理と治療JPT.48(4),599 (2020)

■研究概要
【実施時期】2020年1~2月
【対象者】20~39歳の健常な男女16名(最終解析対象者女性12名)
【試験食品】ブドウ糖30 gを含有するラムネ風味ゼリー飲料(ブドウ糖含有ゼリー飲料)
【対照食品】ブドウ糖を抜いたラムネ風味ゼリー飲料(プラセボゼリー飲料)
【試験期間】単回摂取
【試験方法】ランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験
【試験項目】CognitraxTMによる認知機能スコア