TCRジャパン第6戦富士:篠原拓朗が週末を制し、サンデーシリーズのチャンピオンに輝く

 2020年TCRジャパンシリーズの最終戦となる第6戦が富士スピードウェイにて行われ、12月19日(土)に行われたサタデーシリーズ、20日(日)に行われたサンデーシリーズともにAudi Team Hitotsuyamaの篠原拓朗が制した。

 第6戦の勝利で篠原はサンデーシリーズのタイトルを獲得。前戦鈴鹿でサタデーシリーズのタイトルを獲得している篠原は、TCRジャパンのダブルタイトルを獲得することとなった。

 変則的なスケジュールで開催となった2020年シーズンのTCRジャパンシリーズも第6戦富士で最終戦を迎えた。12月下旬という寒さの厳しいなかでの開催となった富士ラウンドは、全10台による戦いが繰り広げられた。

■第6戦 サタデーシリーズ

 19日に行われるサタデーシリーズのポールポジションを獲得したのは前戦鈴鹿でサタデーシリーズのタイトルを獲得している篠原拓朗(アウディRS3 LMS TCR)。2番グリッドにブロンズクラス最上位のHIROBON(クプラTCR)、そして大蔵峰樹(アルファロメオ・ジュリエッタ・ヴェローチェTCR)が大健闘の3番グリッドを獲得している。

 10番グリッドスタートの梅本淳一(アルファロメオ・ジュリエッタTCR)は出走が叶わず、サタデーシリーズ決勝は全9台によって争われることとなった。

 19日12時45分から行われたサタデーシリーズは、富士スピードウェイ全体が分厚い雲に覆われ、時折雨粒が落ちるコンディションのなか、スタートを迎えた。

 第6戦はエクストラフォーメーションラップが1周追加されることとなり、計2周のフォーメーションラップが行われることとなった。そんななか、3番グリッドスタートの大蔵がフォーメーションラップ1周目のパナソニックコーナーでスピンを喫し、最後尾である9番手からのスタートとなってしまう。

 2周のフォーメーションを終え、好スタートを決めたのは予選で4番手に沈んだ松本武士(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)。松本はTGRコーナーでHIROBONの前に出るも、HIROBONはクプラTCRの強みであるストレートスピードを活かし、コカコーラコーナー進入で再び2番手のポジションを取り戻す。

 3番手にポジションを下げた松本の背後、4番手に塩谷烈州(ホンダ・シビック・タイプR・TCR)、5番手にブロンズクラスのタイトルがかかる下野璃央(ホンダ・シビック・タイプR・TCR)が続くかたちとなる。

 トップの篠原は序盤からただ一人1分47秒〜48秒台のハイペースで周回を重ね、2周終了時点で2番手HIROBONに対し3秒のギャップを築いた。コンペティションウエイトを60キロ搭載している篠原だが、今回もウエイトを感じさせない走りをみせ、早々に、“勝ちパターン”に入る。

 レース後半に差し掛かると、3番手争いが過熱する。3番手松本の背後に塩谷が接近。7周目にぴたりと背後についた塩谷は、8周目のTGRコーナーで揺さぶりをみせる。翌9周目の2コーナーで松本と塩谷は並走し、そのままコカコーラコーナーへ。立ち上がりで塩谷はわずかにオーバーランしつつもトヨペット100Rコーナーで松本をかわし、3番手に浮上した。

 9周目、最後尾からポジションを取り戻しつつある大蔵が下野をかわして5番手に浮上した。下野は6番手に順位を下げたが、サタデーシリーズのブロンズクラスチャンピオンの座を守りきる。

 11周目、チャンピオンの座を決めてからも引き続き、強さをみせた篠原がトップでチェッカーを受けて、今季5勝目を獲得。シリーズチャンピオンに相応しい走りをみせた。2位はHIROBON、3位は塩谷が獲得。

 6位でチェッカーを受けた下野が2020年シーズンのサタデーシリーズ ブロンズクラスチャンピオンに輝くこととなった。

TCRジャパンシリーズ第6戦富士 サタデーシリーズ決勝結果

Pos. No. Driver Team Car Laps

1 21 篠原拓朗 Audi Team Hitotsuyama アウディRS3 LMS TCR 11

2 19 HIROBON バースレーシングプロジェクト【BRP】 クプラTCR 11

3 62 塩谷烈州 全薬工業 with TEAM G/MOTION’ ホンダ・シビック・タイプR・TCR 11

4 25 松本武士 VolkswagenRT with TEAM WAKAYAMA フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR 11

5 73 大蔵峰樹 M-PROTOTYPING Team STILE CORSE アルファロメオ・ジュリエッタ・ヴェローチェTCR 11

6 34 下野璃央 Drago CORSE ホンダ・シビック・タイプR・TCR 11

7 17 鈴木建自 バースレーシングプロジェクト【BRP】 アウディRS3 LMS TCR 11

8 55 Mototino 55MOTO with J’S RACING アルファロメオ・ジュリエッタTCR 11

9 7 牧野淳 麻布ワコーズEDニルズNGK アウディRS3 LMS TCR 11

– 69 梅本淳一 55MOTO with J’S RACING アルファロメオ・ジュリエッタTCR DNS

*ファステストラップ:篠原拓朗(アウディRS3 LMS TCR) 1分47秒723(4/11)

第6戦を制した篠原拓朗(アウディRS3 LMS TCR)
HIROBON(クプラTCR)
塩谷烈州(ホンダ・シビック・タイプR・TCR)
TCRジャパンシリーズ第6戦富士 サタデーシリーズ オーバーオール上位3台

■第6戦サンデーシリーズ

 サンデーシリーズ公式予選では篠原がポールポジションを獲得、2番グリッドにHIROBON、3番グリッドに松本が続いた。5番手タイムを記録した下野はペナルティにより最後尾となる10番手スタートとなった。

 20日9時5分から行われた決勝レースでは2番グリッドスタートのHIROBONが好スタートを決めてTGRコーナーのホールショットを奪う。そんななか、1周目のコカコーラコーナーで6番手スタートのMototino(アルファロメオ・ジュリエッタTCR)、9番手スタートの梅本が単独スピンを喫し順位を落としてしまう。

 首位にHIROBON、2番手に篠原、3番手に松本が続くなか、最後尾スタートの下野が5番手までポジションを上げて2周目に突入する。

 2019年シーズンのサンデーシリーズチャンピオンの松本は2年連続のタイトル獲得に向けて2番手篠原を追いたいところだが、篠原とのギャップは徐々に広がりをみせ、さらに4番手塩谷が背後に迫る。

 2番手にポジションを下げた篠原は2周目のADVANコーナーでHIROBONをインに飛び込む。2台はサイド・バイ・サイドのバトルを展開したが、ダンロップコーナーで篠原がオーバーテイクに成功し、トップの座を取り戻した。

 トップに返り咲いた篠原は3周目、HIROBONに対し1.183秒のギャップを築くと毎周徐々にギャップを広げにかかる。

 一方、松本と塩谷の3番手争いは激しさをみせる。7周目のトヨペット100Rコーナーで塩谷が一時3番手に浮上するも、塩谷がADVANコーナーで姿勢を崩した隙に松本が3番手を取り戻す。その間に5番手の下野、6番手大蔵が接近するも、松本は昨年のサンデーシリーズチャンピオンらしい巧みなブロックラインで3番手を死守する。

 11周目、HIROBONに対し4.402秒のギャップを築いた篠原がトップでチェッカーを受けて、第6戦サンデーシリーズ決勝を制した。2位はHIROBON、3位は松本が獲得した。

 サンデーシリーズのポイントランキングトップの篠原、2位の松本が1ポイント差で迎えたタイトル争いは、通算150ポイントを獲得した篠原がシリーズタイトルを獲得。最終戦に望みをかけた松本は137ポイント獲得のランキング2位、前戦でブロンズクラスのタイトルを決めているHIROBONが109ポイントで総合3位を獲得した。

 エントラントチャンピオンはAudi Team Hitotsuyamaが獲得、これによりエントラントチャンピオンが使用したマシンモデルに対して贈られる『モデル オブ ザイヤー』はアウディRS3 LMS TCRが獲得した。

TCRジャパンシリーズ第6戦富士 サンデーシリーズ決勝結果

Pos. No. Driver Team Car Laps

1 21 篠原拓朗 Audi Team Hitotsuyama アウディRS3 LMS TCR 11

2 19 HIROBON バースレーシングプロジェクト【BRP】 クプラTCR 11

3 25 松本武士 VolkswagenRT with TEAM WAKAYAMA フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR 11

4 62 塩谷烈州 全薬工業 with TEAM G/MOTION’ ホンダ・シビック・タイプR・TCR 11

5 34 下野璃央 Drago CORSE ホンダ・シビック・タイプR・TCR 11

6 73 大蔵峰樹 M-PROTOTYPING Team STILE CORSE アルファロメオ・ジュリエッタ・ヴェローチェTCR 11

7 17 鈴木建自 バースレーシングプロジェクト【BRP】 アウディRS3 LMS TCR 11

8 55 Mototino 55MOTO with J’S RACING アルファロメオ・ジュリエッタTCR 11

9 7 牧野淳 麻布ワコーズEDニルズNGK アウディRS3 LMS TCR 11

– 69 梅本淳一 55MOTO with J’S RACING アルファロメオ・ジュリエッタTCR 3

*ファステストラップ:篠原拓朗(アウディRS3 LMS TCR) 1分47秒360(3/11)

スタートで首位に浮上したHIROBON(クプラTCR)
松本武士(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)
第6戦を制した篠原拓朗(アウディRS3 LMS TCR)

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