IDC、複数のクラウドを統合的に管理している企業は約20%でクラウドのサイロ化が見られると発表

IDC Japan株式会社は、国内クラウド需要調査を発表した。同調査では、何らかのクラウドを利用中の国内企業(従業員規模100人以上)を対象としたアンケート調査を2020年10月に実施して、452社から有効回答を得た。国内市場では、企業が複数のクラウドを利用することが一般化している。一方、複数のクラウドを統合的に管理している企業は約20%に留まっており、クラウドのサイロ化が見られるとのことだ。また、複数のクラウドを利用した時の課題や懸念として、「コスト管理/コスト削減」「全体的なセキュリティの強化」「クラウドごとに異なる運用管理の対応」などが上位に挙げられている。現在、これらの課題や懸念を解消するために、クラウドの統合管理を目指す企業が多くなっている。今後、クラウドベンダーや基盤技術を増加させると考える企業が多く存在する。その主な理由として「システムごとに最適なクラウドが異なる」「コストを最適化するため」「現状よりも、優れたベンダー/技術の登場」などが挙げられている。一方、プライベートクラウド(HPC、EPC)では、クラウドベンダーや基盤技術を減少させるとの回答も多く、その理由として「コスト削減」「業務の効率化」「ITガバナンス強化や管理の簡略化」「社内要員やスキルの不足」が挙げられている。現在、国内企業によるクラウドの利用/導入後の評価は概ね良好とIDCは見ている。一方、スキル不足によって、クラウドを使いこなしていないと考える企業も多く見られるとしている。IDC Japan ITサービスのリサーチディレクターである松本聡氏は「ベンダーは差別化のためにも継続的に機能強化を行う必要がある。しかし、ユーザー企業が新機能などを認知し、使いこなせなければ意味はない。ベンダーは、ユーザー企業のスキル向上を支援し続ける施策の強化が必要である」と分析している。

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