「伊藤美誠のような強さ」と指揮官絶賛 “強心臓の16歳”木原美悠、五輪メダリスト下す

<卓球・ノジマTリーグ2020-2021シーズン 12月22日(火)>

Tリーグサードシーズン女子の試合が22日行われ、木下アビエル神奈川(以下、KA神奈川)が日本ペイントマレッツ(以下、ニッペM)にマッチカウント3-1で勝利した。木原美悠(KA神奈川)が、ニッペMのエース馮天薇(フォンティエンウェイ)に打ち勝ち、KA神奈川は7連勝を飾った。

木原美悠と馮天薇が初対決

写真:木原美悠(木下アビエル神奈川)/撮影:ラリーズ編集部

マッチカウント2-1と勝利に王手をかけたKA神奈川は、4番に木原を投入した。

16歳の木原は、幼少期から国内大会のタイトルを獲得してきた逸材で、2019年の“平成最後の全日本”ではシングルス準優勝を飾った。2019年のグランドファイナルダブルス優勝など国際大会でも結果を残し始めている。

写真:馮天薇(日本ペイントマレッツ)/撮影:ラリーズ編集部

一方のシンガポール代表の馮天薇は、五輪でメダルを3つ獲得している女子卓球界のレジェンド。2010年の世界選手権モスクワ大会女子団体決勝では、当時8連覇中の中国から2点をあげ、シンガポール代表の金メダル獲得の立役者となった。

「伊藤美誠選手のような強さ」

試合は、初対戦ながらも「少し後ろに下がってプレーする選手という印象で自分としてはやりやすそうなイメージだった」と語ったように、木原がいきなり2ゲームを連取する。

写真:木原美悠(木下アビエル神奈川)/撮影:ラリーズ編集部

3ゲーム目以降は馮天薇が変化をつけ木原のミスを誘い、ゲームカウント2-2と追いつく。しかし、6-6から始まる最終ゲームは、木原が奪い勝利を決めた。試合後、木原は「勝った瞬間はホッとした。特徴である自分のサーブとバック対バックのラリー戦でコースを外すという戦術が効いていた」と振り返った。

写真:馮天薇(日本ペイントマレッツ)/撮影:ラリーズ編集部

KA神奈川の劉燕軍も「木原は馮天薇選手という世界トップレベルと試合し、勝ったのは大きかった。1、2ゲーム目は伊藤美誠選手のような強さだった」と伊藤を引き合いに出し、絶賛のコメント。

木原と伊藤は、バック面に表ソフトを貼り、フォアはスマッシュを多用、サーブは巻き込みサーブが中心とプレーの特徴が似ている。指揮官も「サーブとバックのミート、フォアのストレート攻撃は伊藤選手のようだった。伊藤選手の方がボールの威力は上だが、安定感は木原の方があるのでは」と褒め称える。

写真:開幕戦での木原美悠(木下アビエル神奈川)/撮影:ラリーズ編集部

もう1つの類似点は“強心臓”だ。伊藤は試合中に「楽しむ」をテーマに笑顔を見せることが多々あるが、今回の木原も試合中に笑みを見せていた。また、大胆なサーブの配球も「試合の中で思いついたサーブをやっています(笑)」とひらめきで実行していることを明かす。

「(フォア側から相手のフォア側に出すサーブは)練習でもあまりしていなかった。ベンチからのアドバイスでなく、フォアから出したらどうなるかな?と思ってやりました。サーブが効いているときは調子が上がって自信もつく。そうするといろいろ候補が浮かんできます」。

写真:笑顔の木原美悠(木下アビエル神奈川)/撮影:ラリーズ編集部

エース級と当たるのも「プラスに考えている」

今季、木原はハン・イントップおとめピンポンズ名古屋)、加藤美優(日本ペイントマレッツ)、早田ひな日本生命レッドエルフ)ら、各チームのエース級との対戦が増えている。これも指揮官の期待の表れだ。「木原はアビエルで張本美和に次ぎ若い選手。開幕戦(のVM)で早田選手に勝って期待を抱いた。木原を次期エースとして相手エースと当てている。今後も期待している」。

写真:木原美悠(木下アビエル神奈川)/撮影:ラリーズ編集部

木原本人はエース級と当たることについて「自分の実力を試す機会が増えているので、自分的にはプラスに考えています」といつものように笑顔でコメントを残した。

エースの石川佳純が6勝0敗、次期エースの木原が8勝3敗と波に乗るKA神奈川。悲願のTリーグチャンピオンに向け、歩みを進めている。

日本ペイントマレッツ 1-3 木下アビエル神奈川

永尾尭子/馮天薇 1-2 〇長﨑美柚/浜本由惟
6-11/11-10/11-9

サウェータブット・スターシニー 1-3 〇石川佳純
11-10/5-11/5-11/3-11

〇加藤美優 3-1 長﨑美柚
11-10/11-6/9-11/11-7

馮天薇 2-3 〇木原美悠
8-116-11/11-6/11-6/7-11

文:ラリーズ編集部

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