児童見守り安心システム「ツイタもん」を運営する(株)AIプロジェクトが民事再生法申請、新型コロナが学校関係者への営業活動を阻む

 (株)AIプロジェクト(TSR企業コード:575886781、法人番号:6120001133608、大阪市中央区瓦町4-4-7、設立2008(平成20)年9月、資本金1431万6500円、代表取締役:由岐中利彦氏)は12月21日、大阪地裁へ民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。申請代理人は北野知広弁護士(弁護士法人大江橋法律事務所、同市北区中之島2-3-18、電話06-6208-1500)。監督委員には赫高規弁護士(弁護士法人関西法律特許事務所、同市中央区北浜2-5-23、電話06-6231-3210)が選任された。
 負債総額は約26億9400万円。

 ICタグを活用した児童向けセキュリティーシステムを手掛け、機器の販売およびメール配信などのサービスを提供していた。(特定)ツイタもん(TSR企業コード:576417530、法人番号:3120005012364、同市中央区)より運営受託していた「ツイタもん」は、児童が登下校する際に校門に設置したタグ読取機を通じて情報を伝達するシステム。教育機関に無償でカメラ設置やICタグの貸し出しをする一方、メール配信利用料金の徴収や保守料などで収入を得ていた。大阪府を中心に奈良県、兵庫県、福岡市、札幌市などの教育委員会を経由し約700の小学校などに導入されるなど、認知度が高まっていた。
 近年は車両の入出庫、在庫数をスマホを利用して管理する「車両の位置情報管理システム」や、「ITを活用した業務支援システム」の開発を手掛けるなど新たな試みも実施し、2019年3月期の売上高はピークとなる10億9490万円を計上した。
 しかし、学校へ導入する際はカメラなどを無償で提供していたことから、自社営業による契約の増加に伴い、資金需要が発生し資金繰りが悪化。また、2020年2月以降は「新型コロナウイルス」感染拡大に伴い学校関係者に対しての営業活動が思うように進まず、同年3月期の売上高は約6億2300万円にまで落ち込み、営業損失約5億2300万円となり大幅な最終赤字を計上し、債務超過に転落していた。
 こうしたなか、2020年2月には前代表が死亡。取引先に対しては支払条件の見直しを打診し、資金繰りに奔走していたが、その後は支払が遅れるなどしたため、取引金融機関にリスケを要請し対応していた。しかし、取引先からの訴訟や仮差押えの設定など信用不安が広がり、自力での事業立て直しが困難と判断。スポンサー付きのプレパッケージ型による民事再生法を選択し、再建を目指すこととなった。
 なお、スポンサーの支援を受け「ツイタもん」のサービスは現在も継続。また、ツイタもんは法的措置を取っておらず、事業を継続している。

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