38歳「貯金が少なくて恥ずかしい。40歳までに300万貯めたい」

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、38歳、会社員の女性。お金が貯まらずに自信をなくしている相談者。家計のどこをどう改善すればよいでしょうか? FPの氏家祥美氏がお答えします。

全然貯金がなくて、いよいよ恥ずかしい…とにかく40歳までに300万は預金がある状態になりたい。貯めたいとは思っているものの、どこをどう節約してよいのか、何からはじめてよいのかわかりません。老後資金を増やさなくてはと思い、運用ははじめました。

【相談者プロフィール】

・女性、38歳、会社員、未婚

・住居の形態:賃貸

・毎月の世帯の手取り金額:27万円

・年間の世帯の手取りボーナス額:なし

・毎月の世帯の支出の目安:27万円

【毎月の支出の内訳】

・住居費:12万円

・食費:6万円

・水道光熱費:1万円

・通信費:1万円

・お小遣い:3万円

・その他:2万円(服)

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:0円

・ボーナスからの年間貯蓄額:0

・現在の貯蓄総額:15万円

・現在の投資総額:50万円

・現在の負債総額:0円


氏家:こんにちは。ご相談をいただきありがとうございます。「40歳までに300万円を貯めたい」という目標は実現可能なのかを考えつつ、老後資金を貯める方法について一緒に考えていきましょう。

「40歳までに300万円貯めたい」は可能か

まずは、現在掲げている「40歳までに300万円」の目標設定が妥当かどうかを考えてみましょう。ご相談者さんは現在38歳。貯金と投資をあわせた金融資産残高は65万円なので、目標を達成するためには、あと2年間(24カ月)で不足分の235万円を貯めることになります。ボーナスはありませんから、月収から貯めると考えると、235万円÷24カ月です。月々約10万円を貯めるということになりますから、目標設定がちょっと高すぎことに気がつきます。

いきなり出鼻をくじくようで申し訳ありませんが、高すぎる目標は現実感がないために、かえって実現を遠ざけます。家計の内訳を見ながら、無理のない貯蓄プランを立てていきましょう。

老後資金を増やすために固定費の見直しを

では、どこから家計を見直していったらいいでしょうか。ズバリ、最初に手を付けるべきは、「固定費」です。現在、ご相談者さんの手取り月収は27万円ですが、住居費12万円+水道光熱費1万円+通信費1万円=14万円を固定費に使っています。

なかでも気になるのが「住居費」です。手取り月収に対する住居費の目安は25%以内が目安。27万円の25%は6万7,500円です。現在の家賃12万円が贅沢なことに気づくことでしょう。仮に家賃を7万円に抑えることができたら、月々5万円の貯蓄ができるようになります。

広さ、新しさ、駅への近さなどを兼ね備えるほど家賃は高くなる傾向があります。この3つのうち、自分にとって譲れないポイントはどこか、我慢できるポイントはあるかなどを考えて、物件を探してみましょう。

住居費に続いて見直しの余地があるのが「通信費」です。携帯電話だけなら、格安スマホに変えるともっと通信費を抑えられます。なお、在宅勤務が増えていて家庭用のwi-fiが必須という場合には、そこまで通信費を抑えられないかもしれませんが、その場合は、通勤回数が減っていることに注目して、会社から少し離れた所に住むことも選択肢に入れ、住まいの見直しで価格を調整しておください。

家賃と通信費で5万円の削減を目標に、支出を見直しましょう。

変動費も月に2万円の節約を

続いて変動費の内訳を見ていきましょう。変動費は食費が6万円、お小遣いが3万円、その他支出(洋服など)が2万円となっています。ここももう少し削減が可能そうです。1人暮らしの食費は、自炊と外食をあわせてあと1万円減らして5万円以内にしましょう。お小遣いとその他支出(洋服など)をあわせると5万円使っているので、これも1万円減らしてあわせて4万円に抑えたいところ。

食費とお小遣いとその他支出をあわせて、2万円の削減を目指しましょう。

41歳で300万円は実現できる可能性も

固定費と変動費を見直すと、月々7万円の節約が可能になります。これで、年間84万円の貯蓄が可能となります。これを3年間続けると、252万円貯蓄を増やすことができます。

現在の金融資産残高が65万円なので、ここに252万円を上乗せすると、全部で317万円貯められることになります。仮に引っ越し費用に17万円使ったとしても、今すぐに引越しをしてこの通りに家計の見直しを実行したら、40歳で300万円は無理ですが、41歳の間には300万円の目標を達成できる見込みが立ちます。

老後資金の長期計画を

現在、貯蓄があまりなくて自信を失っている様子のご相談者さんですが、仮に月々7万円の家計の見直しをできたら、10年間で840万円、20年間で1,680万円が貯められます。41歳で300万円貯められたとしたら、61歳の時にはここに1,680万円の貯蓄が上乗せされて、約2000万円の貯蓄を手にしていることになります。

今から家計を見直すことの大切さに気がつきますね。

積立貯蓄と積立投資を半分ずつ組み合わせて

老後資金を増やそうという思いから、運用を始めたというご相談者さん。投資にチャレンジしはじめたことは立派ですが、全財産のうち貯蓄が15万円、投資が50万円というのは危うさを感じます。

いざというときにすぐに役立つのは、元本保証の現金・預貯金です。投資信託や株式などは即日お金を引き出すことができませんし、常に価格も変動します。

家計を見直して月々7万円の節約ができるようになったら、銀行等の自動積立定期預金とつみたてNISAを半分ずつ組み合わせてみてはいかがでしょうか。つみたてNISAの上限額は年間40万円、1カ月あたりでは3.3万円になります。つみたてNISAを上限いっぱい積み立てて、残りを自動積立定期預金で貯めるようにするといいでしょう。

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