成人式 苦渋の決断 長崎など6市町が中止や延期 コロナ急増で医療逼迫回避

 全国で新型コロナウイルスの「第3波」とみられる感染拡大が続く中、年明けに予定されている成人式を巡り、長崎県内の市町で中止、延期する動きが広がっている。22日までに西海市など3市町が中止、長崎市、対馬市、北松小値賀町が延期を決定。他市町は感染防止策を徹底して開催する予定だが、関係者は「状況をみて中止を含めた対応を検討しなければ」と気をもんでいる。
 長崎市と対馬市、小値賀町は22日に延期を発表した。感染者が増加傾向にある長崎市は、地域医療の逼迫(ひっぱく)を避けるためと理由を説明。市民から式典開催を心配する声も多数寄せられているという。延期時期は未定。今後の感染状況や新成人の意見を踏まえて「お祝いする機会を改めてつくりたい」(田上富久市長)としている。
 対馬市は式典前後に開かれる同窓会など飲食を伴う行動の制限が困難と判断。帰省に伴い島内で感染者が出た場合、「医療崩壊につながる可能性がある」と医療体制の「脆弱(ぜいじゃく)さ」を不安視し、理解を求めた。
 西海市は同日、感染者の急増を受けて中止を発表。杉澤泰彦市長は感染防止のため「やむを得ず苦渋の決断に至った」とコメントを出した。南島原市、新上五島町も中止する。
 他市町は今のところ、規模縮小や時間短縮の措置をとって開催する予定。毎年アルカスSASEBOの大ホールで実施している佐世保市は今回、座席間隔を空けるため中ホールも開場。そこで式典を中継する。県外からの制約は設けていないが、本人や保護者から「東京に住んでいるが参加できるか」との問い合わせがあっている。
 諫早市は、仮に感染拡大地域などで外出自粛要請が出されれば、対象地域からの参加は見合わせるよう呼び掛ける。大村市は例年より来賓の人数を大幅に減らし、出入り口の数を倍増して対応。スマートフォン向け接触確認アプリのインストールも促している。
 1月4日に予定する雲仙市は、式典2週間前までの海外渡航や感染拡大地域への移動歴がある場合、参加を慎重に判断するよう要望。西彼長与町は密集を回避するため、式典終了後の集合写真撮影などを取りやめる。
 中止や延期を受け、新成人も複雑な心境を明かす。家族に振り袖姿を見せることを楽しみにしていたという長崎市の宮上わかばさん(20)は「驚いたけれど(現在の感染状況では)そうなっても仕方がないのかな」。地元漁協で働く対馬市上対馬町の武末賢也さん(20)は、同級生の7割は島外で進学、就職しているとし、「みんなが帰省するのは正月かお盆。次のお盆までにはコロナが落ち着き、成人式と同窓会を開けることを願っている」と話した。

 


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