新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、長崎県内の経済界も例年と異なる年末年始を迎えている。商業施設は新年恒例の福袋の予約を推奨し、一部を年内から販売。企業は納会や新年あいさつを自粛し、商工会議所などの新年交歓会は中止が相次ぐ。人との接触を減らし、感染リスクを回避する取り組みが続く。
■初売り■
主な大型商業施設の年末年始の営業日は例年通り。初売りは▽アミュプラザ長崎（長崎市）▽ゆめタウン夢彩都（同）▽みらい長崎ココウォーク（同）▽佐世保玉屋（佐世保市）は元日から、▽浜屋百貨店（長崎市）▽ハマクロス411（同）は2日から実施する。
人が殺到して密になるのを避けるため、それぞれ福袋の事前予約、前倒し販売を実施しているところが多い。そのため、当日の店頭販売分は縮小傾向という。
アミュプラザ長崎の人気カフェ「アフタヌーンティー・ティールームアミュプラザ長崎」は今月21日から「ニューイヤーズバッグ」を販売。人が密集しないようワゴンなどに陳列せず、レジで渡している。「売れ行きは順調。年内になくなる可能性もある」という。
浜屋は地下食料品売り場の福袋を、スペースが確保できる8階で販売。ハマクロスは福袋の整理券を配布する。佐世保玉屋では並んだ客にぜんざいの提供をしていたが、今回は中止する。
■営業日■
企業の休業期間は曜日の都合で例年より短め。ただ、コロナ感染予防のため、前後の休暇取得を推奨している。
三菱重工業長崎造船所（長崎市）の休業日は29日～1月4日の1週間。年末年始の行事や社内外のあいさつを控えるよう通達した。三菱電機長崎製作所（西彼時津町）は30日～1月5日に休業。宴会や納会について、感染対策を徹底できない場合に「実施不可」とした。東芝三菱電機産業システム長崎事業所（長崎市）の休業期間も同じで、納会や新年あいさつは中止に。いずれのメーカーも休暇の追加取得に配慮や推奨をしている。
長崎市にコールセンターを置くオリックス生命保険の休業日は30日～1月3日。同様に休暇取得を奨励し、納会の自粛も求めた。ソフトウエア開発のニーズウェルは、例年なら長崎市など拠点ごとに社員を集めて、ウェブ会議で社長が年頭訓示をするが、今回はメール配信に切り替える。
十八親和銀行（長崎市）の窓口営業は30日までだが、1月4日のシステム統合に向けた作業のため同2日から全員出勤にする。
■交歓会■
経営トップらが一堂に会する商工会議所などの新年交歓会は、感染拡大を受け中止が相次いでいる。
長崎商工会議所は1月5日に予定していた交歓会を取りやめた。例年約700人集まる参加者を120人程度に絞って実施する方向で調整していたが、長崎市内でクラスター（感染者集団）が発生するなどしたことから「健康と安全を考慮し」方針転換した。中止は昭和天皇が逝去した1989年以来という。
佐世保、諫早、西そのぎ、新上五島町の各商議所、商工会の交歓会も中止になった。小値賀、大村、島原は実施予定。
長崎魚市場（長崎市）、長崎市中央卸売市場、佐世保市地方卸売市場の水産市場と青果市場の初競りは5日、通常通り開催。初市式は来賓の数を減らすなど規模を縮小して行う。
