【NBA】渡辺雄太がラプターズとツーウエー契約 2シーズン前の王者チーム加入はメリットたっぷり

ラプターズとツーウエー契約を結んだ渡辺は活躍できるか(ロイター=USA TODAY)

【KJ松井のCatch&Shoot(47)】米プロバスケットボールNBAのトロント・ラプターズが、渡辺雄太(26)とツーウエー契約を結んだ。昨シーズンまで在籍したメンフィス・グリズリーズと契約の形態は同じだが、2018~19年シーズンの年間王者チームの一員となることができたのは大きい。その意味について、本紙バスケット評論のBリーグ・京都ハンナリーズ松井啓十郎(35)が解説する。

レギュラーシーズンの契約の保証のない「エキシビット10」契約でラプターズのキャンプに参加していた渡辺選手は「ツーウエー契約」を結ぶことができました。2シーズン在籍したグリズリーズと同じ契約ですが、若い選手が多いチームと、昨年のファイナルを制覇してもう一度優勝を目指すチームとでは練習の仕方や雰囲気が違うと思います。

レベルの高いチームの一員となれたことは渡辺選手にとって大きなプラスになると思いますし、ラプターズも2番(シューティングガード)、3番(スモールフォワード)、4番(パワーフォワード)のポジションがこなせてディフェンスもできるということを評価したからこそ契約したのでしょう。

周りはすごい選手がたくさんいます。ジェレミー・リン(32)という選手がレイカーズにいた時は故コービー・ブライアントさんと食事に行っていろいろと教えてもらったそうなので、渡辺選手にもそうしてほしいですね。

今シーズンは新型コロナウイルスの影響で開幕が遅れ、レギュラーシーズンの試合数も通常の82から72に減りました。一方で、基本的に下部Gリーグでプレーする「ツーウエー契約」の選手がNBAに昇格できるのは年間45日までの制限があったのが、50試合まで出場できます。

「45日ルール」があると、1週間とかの遠征への帯同をちゅうちょするケースもあるかと思いますが、50試合までOKならほとんど出られるようになります。さらにベンチ入りも13人から15人に増えました。長いシーズンではケガ人も出るでしょうし、新型コロナウイルスで試合に出られなくなる選手も出てくるかもしれません。

他の選手のケガやコロナはあまり期待してはいけないかもしれませんが、こうしたことは渡辺選手にとってはプラスだと思います。いずれにしても、チャンスが来た時にはしっかりつかめるよう、常に万全の体調でいてほしいです。

一方、ウィザーズの八村塁選手(22)は目の炎症の状態が気がかりです。両目というのはあまり聞いたことがないですし、欠場が長びいて他の選手がスタメンで活躍するようになると、その後の出場機会がどうなるかは分かりません。早く元気に戻ってきてほしいものです。

☆まつい・けいじゅうろう 1985年10月16日生まれ。東京都出身。バルセロナ五輪の「ドリームチーム」を見た父親の勧めで小学1年からバスケットを始め、6年時にはイベントでマイケル・ジョーダンと1対1で対戦した。高校から米国に渡り、コロンビア大学では日本人男子で初めてNCAA1部でプレー。卒業後は帰国し、今季から京都に加入。ニックネームの「KJ」は、米国で「けいじゅうろう」を覚えてもらいにくいために使い始めた。188センチ、83キロ。

© 株式会社東京スポーツ新聞社