【有馬記念】追い切り グランプリV2へクロノジェネシスがパーフェクト走を披露

クロノジェネシス(手前)は牡馬顔負けのパワフルな動きを披露した

アーモンドアイのJC制覇に、デアリングタクトの牝馬3冠をはじめ、今年のGⅠシリーズは牝馬の活躍が際立った。一年の集大成と言える有馬記念(27日=中山芝内2500メートル)にも牝馬5頭がエントリー。中でもクロノジェネシスはファン投票1位での出走で、宝塚&有馬の両グランプリ制覇の期待がかかる。栗東ウッドで行われた23日朝の追い切りでも主戦・北村友を背にパーフェクト走を披露、牡馬一蹴に向け準備は整った――。

3歳春シーズンは桜花賞、オークスともに3着とクラシック制覇にあと一歩届かなかったが、夏を越して体を450キロ台にまで増やして臨んだ秋華賞で待望のGⅠタイトルを獲得。しかし続くエリザベス女王杯は古馬の壁に阻まれ5着に敗戦。4歳となった今年4月の大阪杯ではまたしてもラッキーライラックの2着に敗れるも、わずかクビ差まで詰め寄ったことで成長の跡を十分に示した。

そして迎えた宝塚記念では圧巻のパフォーマンスを見せつける。他馬が道悪馬場に苦しむ中を一頭だけ楽な手応えでレースを進めると、ライバルのラッキーライラックのみならず、牡馬の強豪たちまでも突き放して2着馬に1秒0の差をつけての完勝。休養を挟むごとに強さを増してゆく過程について、「今年の春くらいからは馬に落ち着きが出てきましたし、ここにきて馬体にさらに幅が出て、またひとつ成長したと感じています。今回は距離がひとつの課題となりますが、自分のリズムを崩さずに走ればこなしてくれると思います。あとは輸送するとカイ食いが落ちるところがあるので、そのあたりにはしっかりと気をつけたいですね」と担当の和田助手は宝塚記念に続くグランプリ制覇に手応えを見せる。

注目の最終追い切りは、1週前追い切りに続いて主戦の北村友を背にウッドコースへ。併走相手のリュヌルージュ(古馬オープン)を2秒近く追走の形からのスタートとなったが、道中は併走馬との距離を取りつつ、楽な手応えのまま直線で馬体を並びかける。そのまま馬なりでのフィニッシュとなったが、迫力十分のフットワークでラスト1ハロン11・9秒を楽々とマーク。見守った報道陣からため息が出るほどの華麗な動きで4歳牝馬が魅せた。

「しっかりめにやった1週前追い切りの後に少し力みも見られたので、今朝はそのあたりにも注意しての追い切りでしたが、いいフットワークで走れていて、動きも良かったですね。速い時計の出る馬場でも、力を要する馬場でも走れることは分かっているので、うまく折り合って運べるようならいい競馬をしてくれると思います」と斉藤崇調教師は宝塚記念に続く牡馬一蹴に改めて自信を見せた。

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