五輪開閉会式統括の佐々木宏氏 演出テーマは〝分断から団結〟

記者会見する佐々木宏氏(代表撮影)

東京五輪・パラリンピック組織委員会は23日、1年延期となった東京五輪の開会式と閉会式の演出について、パラリンピックの演出統括を務めていたクリエーティブディレクターの佐々木宏氏(66)を総合統括とする新チームを発足させて演出を検討していくことを発表した。

五輪開幕まであと7か月。新型コロナ禍による社会状況の変化や簡素化の観点からチームが再編されることになった。この日、東京都内で開かれた会見に出席した武藤敏郎事務総長(77)は佐々木氏に求めるものとして「基本的なコンセプトとして、世界中が混乱に陥っている状況の中、われわれはなんとか来年、オリンピック・パラリンピックを開催したい。簡素にしていくというのと同時に、シンプル、シンプルということではなくて、コロナのもとでの人間活動というものはこういうものなんだということが示されるような、そういう企画でであってほしいなとお伝えしている」と語った。

そんな中、佐々木氏は「分断から団結」について言及。「これはIOC(国際オリンピック委員会)もIPC(国際パラリンピック委員会)もこの大きなテーマを、ぜひセレモニーの中に入れてほしいというオファーもある」。

続けて「オリンピック・パラリンピックに限らず世界的に大事なテーマだと認識している。いろんな意味で分かりやすく、世界の皆さんにも伝わる形でそれを表現して、やってよかったと言っていただける式典にしたい。今の段階では賛否両論だと思うが、来年の夏にはそういう声が出るように頑張りたい」と言葉に力を込める。

また、これまでの演出チームの中心だった狂言師の野村萬斎氏(54)は組織委のアドバイザーに就任する。

野村氏は「コロナ禍の中で本当に東京にみんなが集まれるとしたら、これ自体が奇跡。佐々木さんお得意のウィットに富んだ、洒落の利いた、少し大笑いするかもしれないし、ニヤリとできるような、そういうコロナ禍での式典になれば」と期待した。

佐々木氏は2016年リオデジャネイロ五輪の閉会式の中の引き継ぎ式で、安倍晋三前首相(66)の「アベマリオ」を企画した一人。今年7月23日に国立競技場で行われた五輪1年前イベントで、白血病から復帰した競泳の池江瑠璃花子(20=ルネサンス)を起用した演出も手掛けた。

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