巨人ナイン恐怖の〝新ルール〟? 「手術すれば育成落ち」定番化が招く不安

今年のドラ1・堀田も右ひじ手術を受け来季は育成契約となった

予告通りの大ナタだった。今オフの巨人は大幅な血の入れ替えを断行し、育成選手を含む22選手が退団。その一方で目立ったのが、5人に上る支配下からの育成再契約だった。いずれも手術明けなどの理由で来季開幕からフル回転できるかが微妙なためだが、「手術=育成落ち」の構図も成立。選手側からは故障につながる異変について声を上げづらい状況でもあり、G首脳陣にはさらなる〝眼力アップ〟が求められそうだ。

「迷ったら切る」。編成トップの号令に則り、来季の顔ぶれが大きく様変わりした。トレードや人的補償による移籍を除き、来日1年目のパーラや宮国ら支配下選手だけでも10人が退団。育成でも12人に戦力外通告が言い渡された。同時に、今オフで特徴的だったのは大量の育成落ちだった。

ドラフト1位ルーキーの堀田賢慎投手(19)は入団から一軍未登板のまま4月に右ヒジのトミー・ジョン手術(じん帯再建術)に踏み切り、来季は育成選手として再出発を図る。他にも5月に右手有鉤(ゆうこう)骨を骨折した山下航汰外野手(20)、8月に右ヒジを手術した2017年のドラ1右腕・鍬原拓也投手(24)、月に腰の手術を受けた直江大輔投手(20)、股関節を痛めてリハビリ中の高木京介投手(31)も出直しとなった。

編成陣からすれば、妥当な判断だろう。球団関係者は「来年の開幕から1年間、戦力として機能するか分からない選手を支配下に入れておくわけにはいかない。まずはしっかりとケガを治してもう一度、支配下を勝ち取ってほしい」と語った。

一方で、手術を受ければ育成落ちする可能性が高まる構図も浮き彫りとなり、球界関係者からは「巨人の選手側からすれば、体のどこかに少々の異変があっても『痛い』とかは言いづらくなるのでは?」との声も聞かれている。

育成落ちを回避するために我慢を続け、選手生命を左右する大ケガにつながっては元も子もない。そんな最悪の事態を防ぐには「首脳陣が選手のわずかな変化も見落とさないようにするしかないでしょうね」(同)という。

もちろん、首脳陣は選手の状態に常に目を光らせている。7月24日のヤクルト戦(神宮)では4番手で登板した宮国が投球中に脱水症状を起こしたことを見抜き、すぐさま緊急降板させたこともあったが…。来季はより一層の目配りと気配りの必要がありそうだ。

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