サンタは50年前の元園児…保育園に届いたプレゼント 「貧しくても入園」感謝込め

 沖縄県玉城村(現南城市)出身で、福岡県春日市長を3期務めた亀谷長栄さん(1999年に85歳で死去)が創立した同市の若竹保育園に、50年以上前の園出身者からクリスマスプレゼントが届いた。保育園に手作りのサンタクロース80個と、折り紙のはらぺこあおむし30個が届いたのは11月中旬のこと。年配の男性が「預かってきた」と言って保育士に渡した袋の中に、プレゼントと1通の手紙が入っていた。(阪口彩子)

 戦後、沖縄に戻れなくなった引き揚げ者の援護措置として福岡県春日村(現春日市)に「欽修寮」が整備された。行き場のない県人らが住み、沖縄が復帰する前年の71年、市営住宅に転用されるまで欽修寮は続いた。終戦直後の47年、教育の大切さを訴え亀谷さんが寮に若竹保育園を創立し、多くの県出身者らが通った。

 手紙には、プレゼントの送り主が欽修住宅に40年前まで住んでいたことや園で過ごしたこと、貧しくて弟を入園させることができなかったが、亀谷さんの厚意で入園できたことなどが記されていた。「上原かおる先生、儀部先生」など当時の先生の名前も書かれていた。園が調べたところ、手紙の主が園に在籍していたのは50年以上前とみられる。

 亀谷さんの息子で園理事長の亀谷正さん(72)は「父は昔、保育料を払えない子どもたちも預かっていた。『子どもは国の宝だ』と父はよく言っており、思いが今もつながっているようだ」と話す。23日、若竹保育園でクリスマス会が開かれ園児ら26人にサンタクロースとはらぺこあおむしをプレゼントした。正さんはプレゼントを作った人を探しており「子どもたちとお礼を言いたい」と述べた。

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