INOVIOがCOVID-19DNAワクチン候補INO-4800の第1相データがランセットのEClinicalMedicineに掲載と発表

AsiaNet 87406 (2522)

【プリマスミーティング(米ペンシルベニア州)2020年12月24日PR Newswire=共同通信JBN】
*査読付き第1相データは、INO-4800が被験者の100%に免疫反応をもたらし、中和抗体またはT細胞反応、あるいはその両方を誘発することを示した

*INO-4800は良好な安全性と忍容性を示し、重篤な有害事象の報告はなかった

*予測保存可能期間は通常の冷蔵温度で5年間、冷凍輸送や保管の必要がないなど、クラス最高の熱安定性を提供

感染症やがんから人々を守り、治療するための精密設計DNA医薬品の迅速な市場投入に重点的に取り組むバイオテクノロジー企業INOVIO(NASDAQ:INO)は24日、同社のCOVID-19DNAワクチン候補INO-4800の40人が参加した最初の被験者群の査読付き第1相臨床データが、ランセットが発行するオープンアクセス臨床誌EClinicalMedicineに掲載されたと発表した。

「Safety and immunogenicity of INO-4800 DNA vaccine against SARS-CoV-2: a preliminary report of an open-label, Phase 1 clinical trial(SARS-CoV-2に対するINO-4800DNAワクチンの安全性と免疫原性:非盲検・第1相臨床試験の暫定報告)」と題した論文は、INO-4800がワクチンを接種した全被験者に免疫反応をもたらし、液性免疫反応(中和抗体を含む)または細胞性反応(CD4とCD8 T細胞の両方)、あるいはその両方を効果的に発現させたことを明らかにした。

第1相臨床データはさらに、INO-4800の安全性と忍容性プロファイルは良好で、重篤な有害事象は報告されておらず、軽度の注射部位反応を主とする、6件の重症度1の有害事象(AE)が観察されただけだったことも明らかにした。特に、これらは1回目または2回目の投与の日にのみ起き、2回目の投与でAEの頻度が上がることはなかった。

INO-4800は、安全性や忍容性が高いだけでなく、室温で1年以上、摂氏37度(華氏98.6度)で1カ月以上安定しており、通常の冷蔵温度(つまり、摂氏2-8度/華氏35.6-46.4度)で5年間の予測保存可能期間があり、輸送・保管時の冷凍の必要はない。いずれも、COVID-19との戦いでタイムリーかつグローバルな配布を行うために極めて重要な要素である。

INOVIOの社長兼最高経営責任者(CEO)であるJ. Joseph Kim博士は「ランセットのEClinicalMedicineに掲載されたINO-4800の査読付き第1相臨床データを共有できることを非常に喜んでおり、臨床試験に関わった全ての参加者と研究スタッフのサポートに感謝している」と語った。

ウィスター研究所名誉教授のStanley Plotkin博士は「INOVIOのDNAワクチンは、重篤な反応がほとんどなく、非常に安全な様子だったにもかかわらず、SARS-CoV-2に対する抗体とT細胞の両方の反応を誘発した」と語った。

第1相臨床試験の結果

*INO-4800の第1相臨床試験は、感染症流行対策イノベーション連合(Coalition for Epidemic Preparedness Innovations、CEPI)の資金提供を受け、米国の2施設で当初、18-50歳の40人の健康な成人ボランティアを登録した。

*参加者は1.0mgおよび2.0mgの用量群に登録され、各参加者はINO-4800を4週間間隔で2回投与された。各用量は、INOVIO独自のスマートデバイスCELLECTRA(R)を使用した皮内注射で投与された。

*39人の被験者が2回の投与を完了した。2.0mg群の被験者1人は、臨床施設までの輸送手段がなく、2回目の投与を受ける前に試験への参加を中止した。中止は、試験あるいは投与とは無関係だった。1人の被験者は、試験開始時に血清反応陽性者と見なされた。

*1.0mgおよび2.0mgの両用量群とも被験者の95%でそれぞれ抗体陽転を発現、1.0mg用量群では78%が中和抗体を発現、2.0mg用量群では84%が中和抗体を発現した。

*受容体結合ドメイン(RBD)領域を含むスパイクタンパク質の複数の領域に対して細胞性(T細胞)反応が観察された。1.0mg投与群では74%が測定可能な細胞性反応を示し、2.0mg投与群では被験者の100%が細胞性反応を示した。

*8週目までに、重篤な有害事象は報告されなかった。5人の被験者に軽度の注射部位反応(発赤など)を主とする、6件の重症度1の関連有害事象が観察されただけだった。いずれも、2回目の投与で頻度が上がることはなかった。

*免疫原性を評価できた38人の被験者は全員、2回目のINO4800投与後の細胞性免疫反応と液性免疫反応のバランスが取れていた。

*ClinicalTrials.gov識別子:NCT04336410

INOVIOは現在、INNOVATE(INOVIO INO-4800ワクチン有効性試験)と呼ばれる、INO-4800の計画済みの第2/3相臨床試験の第2相部分を実施している。INNOVATEは、米国内の成人を対象に実施されるINO-4800の無作為化・盲検・プラセボ対照・安全性・有効性試験である。これには、米国防総省(DoD)化学・生物・放射性物質・核防衛統合計画事務局(JPEO-CBRND)が、保健問題担当国防次官補室(OASD(HA))、国防保健局(DHA)と連携して資金提供する。

DoDは、INNOVATE臨床試験の第2相、第3相の両部分への資金提供に同意しているほか、同社独自のCELLECTRA(R)3PSPスマートデバイスの大規模製造とCELLECTRA(R)2000デバイスの調達用に7100万ドルの資金を提供することが2020年6月に発表されている。

INOVIOは最近、Advaccineと協力して中国でINO-4800の第2相臨床試験で1人目の被験者に最初の投与を行ったことも発表した(https://c212.net/c/link/?t=0&l=en&o=3022074-1&h=2277805837&u=http%3A%2F%2Fir.inovio.com%2Fnews-releases%2Fnews-releases-details%2F2020%2FINOVIO-and-Advaccine-Announce-First-Dosing-of-Subject-in-Phase-2-Clinical-Trial-for-COVID-19-DNA-Vaccine-Candidate-INO-4800-in-China%2Fdefault.aspx&a=announced )。同社は現在、国際ワクチン研究所および韓国国立衛生研究所と協力して、韓国でINO-4800の第1/2a相試験を行っている。

▽INO-4800「INNOVATE」第2/3相臨床試験について
INNOVATEの筆頭治験責任医師は、ペンシルベニア大学病院の医学教授Pablo Tebas博士である。臨床試験の第2相部分は、3つの年齢層(18-50歳、51-64歳、65歳以上)それぞれにとってより適切な投与量を確認するため、INO-4800を2回投与(1.0mgまたは2.0 mg)した場合の安全性、忍容性、免疫原性を、各投与量ごとにINO-4800またはプラセボのいずれかを投与する3対1の無作為化試験で、引き続き第3相有効性評価が行われる。同社は、感染率の高い環境やSARS-CoV-2にさらされるリスクが高い地域で働いたり、居住していたりしていて、とりわけ閉鎖された環境で露出時間が比較的長い、あるいは個人用保護具(PPE)が一貫して使用されていない可能性がある特定の人々が対象になるよう、登録の多様性確保に努めている。

臨床試験の第3相部分でINOVIOは、第2相の評価データに基づき提案される用量の有効性を評価するため、18歳以上の健康な男性と妊娠していない女性を登録する予定である。参加者は、1対1の割合で無作為に登録され、INO-4800かプラセボのいずれかの投与を受ける。第3相部分は状況次第で、最終的な登録者数は第3相部分実施期間中のCOVID-19の発生率によって決定される。第3相部分の主要評価項目は、COVID-19疾患をウイルス学的に確認することである。

▽INOVIOのINO-4800開発促進国際協調体制について
INOVIOはINO-4800の開発を急ぐため、協力者、パートナー、資金提供者の国際協調体制をつくり上げた。現在までの研究・開発協力者は、ウィスター研究所、ペンシルベニア大学、テキサス大学、復旦大学、ラヴァル大学などである。INOVIOは、Advaccine、国際ワクチン研究所と連携、それぞれ中国および韓国でINO-4800の臨床試験を実施している。INOVIOは、英公衆衛生庁(PHE)、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)と協力して、いくつかの動物実験モデルでINO-4800の前臨床効果の評価も行っている。INOVIOは、商業規模のINO-4800生産に向け、Kaneka Eurogentec S.A(カネカユーロジェンテック)、サーモフィッシャーサイエンティフィック、Richter-Helm BioLogics、Ology Bioservicesの受託製造業者チームと協力しており、安全で効果的なワクチンに対する世界的需要急迫に応じられるよう、生産能力を一層拡大するため、さらなる外部資金とパートナーシップを求めている。これまでに感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、米国防総省が、INO-4800の開発と生産に多額の資金を提供してきた。

▽INO-4800について
INO-4800は、COVID-19を引き起こす新型コロナウイルスSARS-CoV-2に対するINOVIOのDNAワクチン候補である。INOVIOはコロナウイルス関連事業の経験が豊富で、中東呼吸器症候群(MERS)を引き起こす関連コロナウイルスのDNAワクチン候補INO-4700の第2a相試験を開始した最初の企業である。

最適化されたDNAプラスミドから成るINO-4800は、独自のスマートデバイスを介して体内の細胞に直接送達され、強力かつ忍容性の高い免疫反応を発現させる。INO-4800は室温で1年以上、摂氏37度で1カ月以上安定している唯一の核酸ベースのワクチンで、予測保存可能期間は5年、輸送・保管時の冷凍の必要はない。これは、集団予防接種実施の際の重要な要素である。

▽INOVIOのDNA医薬品プラットフォームについて
INOVIOには、ヒトパピローマウイルス(HPV)関連疾患、がん、さらにMERS関連コロナウイルス、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)と米国防総省の助成金を得ているCOVID-19疾患を含む感染症に焦点を当てた15のDNA医薬品臨床プログラムがある。DNA医薬品は、コンピューターシーケンス技術によって合成または再編成され、体内で特定の免疫反応を発現させるよう設計された小さな環状の2本鎖構造である、最適化されたDNAプラスミドから成る。

INOVIOのDNA医薬品は、CELLECTRA(R)と呼ばれるINOVIO独自の携帯スマートデバイスを使用して、最適化されたプラスミドを筋肉注射または皮内注射で細胞に直接送達する。CELLECTRA(R)デバイスは、短い電気パルスを使い、細胞に小さな孔を可逆的に開けてプラスミドを注入、その他のDNAや、mRNAなど他の核酸アプローチの大きな制約を克服した。細胞内に入ったDNAプラスミドは、細胞が目的とする抗原を生成できるようにする。抗原は細胞内で自然に処理され、望ましいT細胞と抗体を介した免疫反応を引き起こす。CELLECTRA(R)デバイスで投与することで、DNA医薬品が体の細胞に直接送達され、そこで直ちに免疫反応を引き起こしにかかることが可能になる。INOVIOのDNA医薬品は、個人のDNAをいかなる方法でも妨害したり、改変したりすることはない。INOVIOのDNA医薬品プラットフォームの利点は、DNA医薬品の考案と生産の速さ、保管、輸送中に冷凍の必要がない製品の安定性、数々の臨床試験で観察されてきた持続性のある免疫反応、安全性プロファイル、忍容性である。

2000人以上の患者がさまざまな臨床試験において、7000以上の適用でINOVIOの治験DNA医薬品を投与されており、INOVIOには世界中の差し迫った健康ニーズを満たす可能性を秘めたDNA医薬品候補を迅速に生み出してきた優れた実績がある。

▽INOVIOについて
INOVIOは、感染症、がん、HPV関連疾患を患う人の治療や予防用の精密設計DNA医薬品の迅速な市場投入に重点的に取り組むバイオテクノロジー企業である。INOVIOは、独自のスマートデバイスを介して体内の細胞にDNA医薬品を直接送達し、強力かつ忍容性の高い免疫反応を発現させられることを臨床的に実証した最初で唯一の企業である。具体的には、前がん性子宮頚部異形成に対する第3相試験が現在行われているINOVIOの主力候補薬VGX-3100は、第2b相臨床試験で高リスクのHPV16型、18型を死滅させ、除去した。高リスクHPVは、子宮頸がんの70%、肛門がんの91%、外陰がんの69%の原因となっている。HPV関連がん、希少HPV関連疾患である再発性呼吸器乳頭腫症(RRP)、非HPV関連がんである多形膠芽腫(GBM)や前立腺がんを対象とするプログラムも開発中で、外部資金によるジカ、ラッサ熱、エボラ、HIV、MERS関連コロナウイルスおよびCOVID-19疾患の感染症DNAワクチン開発プログラムもある。パートナーおよび共同研究者には、Advaccine、ApolloBio Corporation、アストラゼネカ、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)、米国防高等研究計画局(DARPA)/化学・生物・放射性物質・核防衛統合計画事務局(JPEO-CBRND)/米国防総省(DoD)、HIV Vaccines Trial Network、国際ワクチン研究所(IVI)、Kaneka Eurogentec(カネカユーロジェンテック)、Medical CBRN Defense Consortium(MCDC)、国立がん研究所、国立衛生研究所、国立アレルギー・感染症研究所、Ology Bioservices、パーカーがん免疫療法研究所、Plumbline Life Sciences、Regeneron(リジェネロン)、Richter-Helm BioLogics、サーモフィッシャーサイエンティフィック、ペンシルベニア大学、ウォルター・リード陸軍研究所、ウィスター研究所が含まれている。INOVIOは、取締役会の20%以上が女性の企業を顕彰する「2020 Women on Boards」の「W」称号も授与されている。詳細については、www.inovio.com を参照。

▽問い合わせ先
メディア向け
Jeff Richardson
+1-267-440-4211
jrichardson@inovio.com

投資家向け
Ben Matone
+1-484-362-0076
ben.matone@inovio.com

ソース:INOVIO Pharmaceuticals, Inc.