元WBO王者・伊藤雅雪「悪いところ出た」 1年3か月ぶりの試合〝格下〟三代大訓に判定負け

伊藤雅雪

ボクシングのライト級ノンタイトル10回戦(26日、東京・墨田区立体育館)で、元WBO世界スーパーフェザー級王者の伊藤雅雪(29=横浜光)は現東洋太平洋同級王者の三代大訓(26=ワタナベ)に0―2の判定で敗れた。

約1年3か月ぶりのリングは伊藤にとってライト級に上げての初戦。減量が楽になり、充実したトレーニングができたことでパワーアップを図れたはずだった。

だが、ヒットさせたように見えたパンチでも明確なダメージを与えることができない。

さらに「ジャブはもらってもいい、と思っているところもあったけど、それをピックアップされる(ポイントを取られる)悪いところが出た」と伊藤は振り返る。

今年2月に中国で予定されていた試合は腕の負傷で中止。この三代戦も当初は11月5日に行われるはずだったのが、伊藤が急性虫垂炎となったことで延期となった。

新型コロナウイルスの影響に加えて、自身を襲ったアクシデントでブランクが長くなって試合勘も鈍ったのか、パンチが空を切るシーンも。ダウンもなく、一進一退の攻防が続いた試合は判定に持ち込まれる。リングアナが読み上げた一人目の採点は「95―95」で、残る二人は「96―94」だった。

どちらが勝者か。リング上も、会場の観客も固唾を飲んで待った中でコールされたのは、三代の名前だった。

2018年7月に米国で世界王座奪取という日本ボクシング界にとって37年ぶりの快挙でベルトを巻いた伊藤。昨年5月に、やはり米国で行われたV2戦で王座から陥落し、9月に再起。この日はその時以来の試合で世界2階級制覇へのスタートを切るつもりだったのがまさかの敗戦。

「めざしているのが国内じゃないところでランクが下の選手に敗れた意味は小さくない」と話した伊藤は、今後どのような道を進んでいくのか。

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