宇野昌磨が演技中に〝無意識化〟 全日本5連覇逃すも…充実の2位「出られて良かった」

男子フリーで190・59点をマークした宇野(代表撮影)

フィギュアスケートの全日本選手権(長野・ビッグハット)は26日、男子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)3位で大会4連覇中の宇野昌磨(23=トヨタ自動車)は190・59点のハイスコアをマーク。SPと合わせて284・81点とし、2位で大会を終えた。

昨季と同じプログラム「ダンシング・オン・マイ・オウン」。幻想的なピアノの音色に合わせ、リンク中央からゆっくりと滑り出した宇野は冒頭の4回転サルコー、そして4回転フリップを着氷。続く4回転トーループからのコンビネーションは単独となったが、その後も宇野らしい繊細かつ力強い滑りでフィニッシュ。演技を終えると力強くガッツポーズ。スタンディングオベーションで拍手を送る観衆に、宇野は満面の笑みで両手を上げて応えた。

新型コロナウイルス禍で異例のシーズンとなり、今大会が初戦。「緊張せずに落ち着いていた」というものの「気づいたら自分の時間になっていて、気づけば2つのジャンプが終わり、気づいたら3個目のジャンプがパンク」と振り返った。全日本4連覇の実績を誇る男も、無意識化で普段と違う大会を感じていた。演技後のガッツポーズについては「単純にうれしかったんです。(ジャンプは)パンクしてしまったんですけど、そこから逆に楽しめた」と振り返った。

これまで全日本では様々な顔を見せた。自分をとことん追い込んだ年もあれば、逆にプレッシャーを放棄して楽しむことに徹した年もある。泣いたこと、笑ったこともあった。そして今大会はまた新しい感情が芽生えた。

「出られて良かったですよ。男子シングルはいい試合になったと思います。見ている方が楽しめた。(それを)みなさんに届けられた一部になれたと思います」

今年ほど人前で演技ができなかった年はない。観客の声援を最後まで味わった宇野は2021年へ向けて「たくさん試合に出て、成長して、皆さんの前で演技したい」と目を輝かせた。

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