コオロギ原料やスナックタイプまで!コロナ禍の健康意識の高まりで伸びるプロテイン市場

今年4~5月、外出自粛期間中「コロナ太り」を実感した人は少なくないと思います。その影響からか、健康維持や筋肉トレーニングなどがそれまで以上に注目を浴びることになりました。

そんな中、伸びているのがプロテイン市場。インテージが行った小売店販売データ、SRI®️(全国小売店パネル調査)をもとに調査したデータ(※)によると、「今年よく売れた」商品として、マスク、殺菌消毒剤、うがい薬、石鹸などと合わせてプロテインが並び、前年比139%と好調な伸長となったようです。

なんとなく「健康に良さそうだ」とはわかりつつも、きちんと理解している人は意外と多くないかもしれません。そこで今回は、腸内環境を整えるためのプロテインを発売するAuBの事業総括責任者・田中智久さん解説のもと、プロテインの中身、意義に迫りたいと思います。


プロテインとは、たんぱく質を効率良く取り入れるための補助食品

―これまでも複数のメーカーから発売されていたプロテインですが、そもそもどういった定義のものなのでしょうか。

田中:「プロテイン(protein)」とは、日本語で「たんぱく質」という意味を持ちます。この名の通りたんぱく質を主成分とする栄養補助食品を、一般的に「プロテイン」と呼んでいます。

―人間の体は水分や糖質を除くと、たんぱく質によって構成されており、筋肉、骨、皮膚、爪などの主成分もたんぱく質と言われています。このたんぱく質を効率良く摂取するのがプロテイン商品ということですか?

田中:はい。現在市場に出回っているプロテイン商品の原料は主に牛乳を材料とするホエイプロテインやカゼインプロテイン、大豆を原料とするソイプロテインなどがあります。本来は栄養バランスの整った食事をし、たんぱく質を効果的に体に入れられるのが理想ですが、現代人の多くはとかく忙しく不規則な生活を送っています。そんな現代人の栄養バランスを補う商品として、プロテインが注目を浴び始めているのですね。

また、コロナ禍の巣ごもりによる運動不足が叫ばれていますが、制限がある生活の中でもボディメイクやダイエットを自主的に行う方もいます。こういった方が、効率良く筋肉量を増やすための補助食品としてプロテインを取り入れるケースも増えているようです。

アスリート以外のニーズにより多様化したプロテイン商品群

―各社から様々なタイプの商品がリリースされていますが、何が違うのでしょうか?

田中:これまでのプロテインは「アスリート食」のイメージを持つ商品が多くありました。しかし、前述の通りアスリートではない一般ユーザーの方がプロテインに注目し始めたことでユーザーの裾野が広がり、プロテイン商品も多様化してきています。

粉末タイプのほか、バータイプ、ゼリーや飲料タイプ、スナック菓子感覚のものなどがあります。それぞれ効果が違いますので、よく調べてご自身に合ったプロテインを取り入れるのが良いと思います。

例えば弊社の商品には、体づくりに必要なホエイ、ソイの2種類のたんぱく質に加え、酪酸菌など人間に有効な腸内細菌29種を「アスリート菌ミックス」として配合しています。一般的なプロテインと比較して中性脂肪がつきにくいというデータも取得できおり、腸内環境を整えながら、効率よく筋肉をつくるたんぱく質の代謝を補うことができます。

他社の商品でも、コオロギを原料としたものや、バータイプで小腹を満たしつつ、プロテインを摂取できるもの、スナック菓子タイプなど様々な商品が出ています。

「1本満足バー プロテイン」(アサヒグループ食品)。主に社会人向けの商品で、小腹を満たし栄養素を補給させるコンビニ限定商品

「BODY STARプロテインスナック(うすしお味・コンソメ味)」(おやつカンパニー)。ベビースターを販売するメーカーからは「プロテイン」を銘打った新スナック菓子ブランドも

プロテインの摂りすぎによって起こる弊害とは?

―栄養バランスを整え、効率良くたんぱく質を摂取できるプロテインですが、摂りすぎも良くないですよね?

田中:もちろんです。プロテインによるたんぱく質の過剰摂取は、腸内バランスかく乱菌(悪玉菌)の活動を促し、腸内環境を悪化させる恐れがあると言われています。腸内環境が悪化すれば、腸本来の働きである消化や栄養吸収の効率も悪くなります。

また、プロテインのみを長期的に過剰に摂取すると、中性脂肪が増加してしまうという報告もあります。栄養バランスを整えるプロテインと言っても適度にバランス良く摂取しないといけません。

さらなる広がりが予測されるプロテイン市場

最後に今後もさらに広まる可能性もあるプロテイン市場の展望をお聞かせください。

田中:まだまだ終息の気配がないコロナ禍ですが、さらなる巣ごもりによる運動不足は誰にとっても課題だと思います。適度な運動を行い、効率良く筋肉量を増やすための補助食品として、プロテインを摂取する人は今後も増えていくでしょうし、市場もさらなる拡大が予測されます。

しかし、単に「プロテインを摂れば、どんな環境でも健康になる」というわけではありません。プロテインはあくまでも栄養バランスの補助食品ですから、適度に取り入れていくのが良いと思います。

※出典:インテージ「2020年、今年売れたものランキング」

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